2012年12月22日

実はまだ、12月11日なんです・・・

実はまだ、12月11日なんです・・・実はまだ、12月11日なんです・・・
 本当に、一夜の風雪で、momijiもみじmomijiが、全部散ってしまいました。face08びっくりです。

 北海道の息子が、 「寒いiconN04寒いiconN04寒いiconN04」と、電話で喚いています。

 kao_3今年の冬は、急発進です。(12/11)icon11icon04icon11 


    The Song of Wind (296)

 「あなた様は、書庫に現れたと、コリンは申しておりました。

  書庫のどの辺りか、覚えておいでですか?」

 「いいえ・・・」

 グレイアムは、書庫に入り、そこ等中をゆっくり歩き回った。

 「ニグ・・・だろうか・・・変わった波動だ。

  魔術師では、ないかもしれない。」

 オリザ姫は、はっとした。

 「『黒い霧』と、私達が呼んでいる、怪異の物ではないでしょうか。

  ニグは、これを操り、・・・いえ、ニグが、操られているのかも

  知れませんが・・・」

 グレイアムは、少し考え込み、やがて腕組みを解いた。

 「どちらにしても、ここに、長居はできません。

  ニグが、コリンを助け出すと、厄介な事になるでしょう。

  私は、ケルビンに、急ぎエリオルムに来るよう、

  呼ばれております。ですから、あなた様を、元の場所に

  お送りして、それから、エリオルムに参ります。

  ・・・どちらから、お出ででしたか?」

 オリザ姫は迷った。黒い霧に飲まれた人々は、恐らくバラバラに

飛び散らされているだろう。ポルトル村に、帰るべきか否か。

 「エリオルムには、ケルビンがいるのですね?」

 「はい・・・」

 「アルフィーニも・・・」

 「恐らく・・・」

 オリザ姫は決心した。誰もいなくなっているかも知れない、

ポルトル村へ帰るより、間違いなく、ケルビンとアルフィーニのいる、

エリオルムへ行ったほうがいい。いざとなれば、アルフィーニの、

ドラゴンが、どこへでも、連れて行ってくれる。

 「一緒に、連れて行って下さい。エリオルムへ。

  ケルビンにも、尋ねたい事が、あるのですから・・・」

 
 冷たい、冬の朝霧を突いて、グレイアムは、オリザ姫を導いて

北へ向かって飛んだ。

 幾重にも、毛皮のコートを重ね着させ、向かい風の直撃から

庇うように、腕に姫を抱いて飛ぶ様子は、以前に度々、

このような事を、繰り返した様子が、歴然と、見えるのだった。


 セヴィリスは、物凄い勢いで、床板が自分に迫って来るのを

見て驚いた。床が近付いて来る訳はない。

 自分が墜落しているのだ、と気付いて、態勢を立て直した、

途端、床に着いた。

 両の足首と膝と、右手が衝撃に痺れた。左手は例の如く、

長杖を握っていたが、それも、激しく床を打った。

 バシッという、音が、こだました。

 「いってぇ・・・」

 どうにか立ち上がったが、すぐに、歩き出せる状態ではない。

 杖に縋って、暫く、立ち竦みながら、周囲の様子を伺う。

 禍々しい、激しい波動。冷たい大気。外光は殆どない。

 小さな灯火が、疎らに灯されている。

 もう少し、火を大きくするか、数を増やせばいいのに、と、

思うくらいの明かりしかない。

 セヴィリスは、長杖の先を光らせた。

 ひどく、だだっ広い空間の片隅のようだった。

 片側には、柱や、板壁があるが、他は、長杖の明かりが、

届かぬほどの、広い空間である。しかも、地上ではない。

 ・・・高い、塔の上か・・・

 それにしても、全身を鞭打たれるような、酷い波動である。

 生きる希望や、楽しい思い出など、常人が精神の維持に、

不可欠と感じる、良き「もの」の全てを、破壊し尽くす、

忌まわしさだった。

 ・・・この波動・・・覚えがある。

  水妖魔王の、腹の中にいた時だ・・・

 憎悪。三王女は、そう言った。

 ・・・御方様は、憎悪を求むる・・・

 人の心から、憎悪だけを、純粋に取り出して、空間を満たせば、

このようになるのだろうか・・・

 セヴィリスの背に、冷たいものが走った。

 ・・・御方様って、誰だったんだろう・・・

 三つ首犬と、水妖魔王と、戦乱騒ぎで、肝心な事を突き詰めて、

考える事を忘れていた。

 ・・・「憎悪」を求めるとは、どういう意味なのか・・・

 よく考える間は、なかった。

 空間の、板壁伝いに、調べながら、歩いていたセヴィリスは、

よく見知った二人を、薄暗がりに発見して、驚いた。

 「ケルビン!アルフィーニ!」

 二人は、じっと前方を凝視して、立っていた。

 その視線を追い、二人の前方にあるものを、長杖の明かりに

照らし出した時、セヴィリスは、驚愕の余り、息をも詰まらせた。

 浅い線彫りの、細かい模様のある、黒い石の台座の上に、

脈動する、押し固めた闇・・・のようなもの。

 それが脈打つたび、台座の線彫りに、光が走る。

 闇の表面は、黒い霧に覆われている。が、その中心は、

もう少し、「もの」であるらしく、回転か、蠕動か、何らかの動きを

しているらしい。生き物なのか、水や気体のような無生物か、

それも、分からない。だが、どうやら、これが、捜し求めていた、

 「黒い霧」の、本体であるらしかった。

 「ケルビン!やったんだな!ついに、見つけたんだ!!」

 興奮は、一瞬だった。セヴィリスの脳天目掛けて、

空気の塊が降って来た。首と脳天の衝撃に、屈み込むと、

その体を、捕縛する者がいる。

 「・・・何?・・・何をするんだ?」

 相手を見て、セヴィリスは、一瞬、抗うのを躊躇ってしまった。

 が、躊躇っていては、いけなかったのだと、後で気付いた。

 セヴィリスを縄に掛けたのは、ラダンだったのだ。

 「邪魔者の法術師は、捕らえました。」

 「よし。では、始めよう。」

 セヴィリスを片隅に転がすと、三人は三方向から、上に向けて、

思念電撃を飛ばした。その先には、厳重に張られた、

魔法陣による、結界の図形が描かれている。

 「壊すなーーーっ!!」

 セヴィリスの叫び虚しく、天井の結界は破れた。

 ドクン、と、闇の塊が、大きく脈打った。

                続く


  ではまた次回。明日が、今年最後になります。iconN04kao_16iconN05

   三年目突入です。kao11kao_01kao11今日も、お越し下さって、ありがとう御座いました。




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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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