ぶるんねん文庫

　私の中で、好きな花の順位は、

　決まっているけど、

　番外があります。それが露草。

　この青は、特別です。

　紫掛からない、純粋な青の花　★★★

　花弁二つと言うのも、なんだか神秘的。

　夏の花のはずだけど

　この辺りでは、９月の花。

　本日、２６日也。すみません


　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（１２５）

　「何と言う事だ！世界最強の魔術師が、己が娘の為に、

　　自らを殺させたと言うのか！」

　ケルビンは、激昂を押さえ切れず、握り締めた拳を震わせ、

逆にセヴィリスは、妙に冷静に、現れた文字を、一生懸命

別紙に書き取っていた。

　「『陛下。どうか、この手紙をお読みになりましたら、

　　　直ちに、ファーゴを退け、その企みから、

　　　尊いお手を引かせられませ。

　　　ファーゴは陛下を、踏み台と看做しているのです。

　　　彼の者が、私を生ける魔法陣と為して、その力の上に、

　　　法王を名乗る暁には、この世は、暗黒と虚無に

　　　取り憑かれ、人心は全て、神域への道を見失い、

　　　永遠に無明を、彷徨う事となりましょう。

　　　父の恐れは、その一点でございました。

　　　ただ、私の寿命尽きて後、なお、まじないのみが

　　　生き続けるやも知れず、それが、ルテシアの妨げになる事は、

　　　望外でございますゆえ、解き方のみ、記しますれば、

　　　この手紙を、決してファーゴの目に触れさせませぬよう、

　　　重ねてお願い申し上げます。』」

　後は、ヘキサグラムを主とした図形と、アナトスが

離宮内に隠した、護符の在り処の地図である。

　紙面は、それで一杯だった。

　セヴィリスは、それを懸命に書き写しながら、絶望にかられた。

　これを書いたのが、本当にマヤリス妃なら、彼女が姉の、

ヴィオリアである可能性は、かなり低い事になる。

　写し終え、セヴィリスが、溜息と共にペンを置くのを見て、

ミリカは、もういい？と、断って手紙を畳んだ。

　今となっては、大事なおばあさまのよすがは、これしかない。

　畳んだ手紙を、大切にブラウスのポケットに、仕舞い込む。

　コツコツと、居間の扉が叩かれ、シドの祖母、

テレサが姿を現した。

　「ミリカ、小さい子供は、もう休まなければいけませんよ。

　　寝室においでなさい。」

　とうに夜半過ぎである。ミリカも眠かったのだろう。

　はい、と素直に従い、皆に向かって、おやすみなさいと

言うと、テレサに手を引かれて、居間を出た。

　その後姿を、見るとも無く、目で追っていたオリザ姫が、

はっとした顔で立ち上がるのと、扉の閉まるのが同時だった。

　「ミリカ！ミリカ！！行っては駄目！！」

　叫びつつ、オリザ姫が開けた扉の向こうで、

テレサは、正体無く倒れ伏しており、ミリカの姿は、

かき消すように、消えてしまっていた。

　後にはただ、オリザ姫にのみ、辛うじて見えるほどの、

薄い黒い霧が、漂いながら消えて行くのだった。

　　　　　　　　　続く

　オリザ姫は、もうちょっと、しっかりして来ないかなぁ・・・

　おっとりし過ぎなんだな。お姫育ちで、仕方ないけど。

　いつも、今一歩遅いんだな。ま、だから、ストーリーが進むんですが・・・

　では、また次回。今日もお越し下さって、ありがとうございました。