ぶるんねん文庫

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　
　恐ろしい大災害が起こって、半年が過ぎました。

　あの日は、本当に、どうしたらいいか分からなくて、物凄く混乱してました。

　自分が書いた厄災に似た事が、現実に起こるなんて、だれが想像するでしょうか？

　そして半年経って、今度は大雨と山津波で、土砂ダム災害・・・

　ストーリーでは、土砂ダムで、北の都サフィールが水没してますので、これもびっくりでした。

　考えてみれば、災害列島日本ですから、何か想像すれば、何かはマッチングしちゃうのです。

　・・・言い訳を最初にしておいて、また、災害の話を出さなきゃならない・・・

　それが、テーマになってるから、ホント、心苦しいんですけど、出します。

　不謹慎だと思われても、仕方ないです。お話です。フィクションです。そう思ってください。

　では、本文スタート


　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（１２０）

　ケルビンが、行ってしまった日の午後、

ネルンブ村のシドから、三通の手紙が届いた。

　一通は、シド自身から、祖父母に宛てた物。

　知り合いが訪ねるゆえ、よろしくと言う、挨拶状である。

　一通は、ジャドゥビスの父からだった。

　隣接するナタレンス公爵領に、洪水が起こり、

グロリオーサ城が被害に遭って、公爵一家が、

フェティエ城に、避難して来たと言うものだった。

　「『真白き三日月』より、南の地方は、どこも大雨で

　　災害が起こっている。早馬便などで、知らせなくても・・・」

　ジャドゥビスは、親元からの便りに照れて、愚痴って見せた。

　「そう言うな。ネルンブから、便りを出したゆえ、

　　わざわざ、返事を下さったのだろう。

　　親と言うのは、心配するのが、仕事なのだから。」

　ソルダムは、ユーディスから、母が、どれほど自分を

案じていたか聞かされ、忸怩たる思いで、一杯になったのだ。

　感情の勢いに任せ、出奔した自分を、責めるより、

はらはらと、心配し続けていると言う母に、なんとか一言、

無事を知らせたいと、思っているのだから、若いジャドゥビスの

照れも分かるが、その父母の思いも、汲み取れる。

　ソルダムは、自分宛の、シドからの便りを、開封した。

　「マチアス達の事かな？こちらからの、ユーディスの便りは、

　　まだ、着いてないはずだが・・・」

　かなり分厚い紙束を、広げながら、読み始めたソルダムは、

見る見る表情を強張らせた。

　なにか変事が？と、注視するジャドゥビスとシシィに、

気を留める余裕も無く、ソルダムの目は、食い入るように、

紙面に注がれている。

　「どないしたん？」

　シシィが遠慮も見せず、ひょいと覗き込み、あっと声をあげた。

　「バルツァードが・・・？」

　「何だって！？」

　ジャドゥビスも近寄り、覗き込む。

　それへ、読み終わった一枚目を渡し、ソルダムは、早や、

二枚目に目を走らせている。シシィが、ジャドゥビスのために、

声に出して、読み上げ始めた。

　「『この度の、コーブリオン進攻は、半分以上、口実と思われる。

　　　ルテシア西部で、徴兵された兵士達は、全て、バルツァードへ

　　　送られると見られる。また、今回の内乱も、ルテシアより

　　　入り込んだ、間諜の扇動による事は、明白である。

　　　国王の不在につけ込む、ファーゴの卑怯さは、目に余るが、

　　　ネレイド王の名で、出された命に、反する事はできず、

　　　断腸の思いながら、タンベルディ、ネルンブ両村の、

　　　兵を率いて、自分も出陣する。・・・・・

　　　この便り自体、故国に対する、裏切りであるが、

　　　友誼により、お知らせする。以降一切、音信できぬ事、

　　　ご承知いただきたい。・・・・・』・・・

　　　これって・・・これって・・・」

　「ユーディスを呼んでくれ。」

　ソルダムの顔は、真っ青になっていた。

　　　　　　　　　　続く

　１２０回記念。また、恥と外聞かなぐり捨てて、下手な絵を出します。

　
　歌姫シシィです。

　イメージ違ってました

　録画の静止画像、見て描くんだけど

　彼女の実体モデルは、歌手だから、

　歌ってる所しかない。

　だから、口開けた所しか描けない。

　この絵では、特定は難しいかな。

　お姉さんの方が、超有名だけど、

　さあは、この子の方が、好きだな。

　声と、関西弁が好き。

　　では、また、次回。　　今日もお越し下さって、ありがとうございました。