2011年09月07日

風の歌 111

風の歌 111 何年振りでしょうか?kao_16

 葡萄が実りました。icon12icon06icon12

 毎年、スカシバと言う蛾が

 大発生してkao09、葉を食い荒らし、

 実をつけなかったのですが、

 今年は、蛾が少なかったので、

 どうにか、一房iconN08kao_16iconN08

 まあ、肥料もやってないから、

 すっぱいだろうな・・・icon11kao_12icon11 


  The  Song  of  Wind  (111)

 二人と一頭は、なだらかな山間部の森の、やや開けた草っ原に、

墜落してしまった。そこは、斥候部隊の展開する、真っ只中。

 黒い投網は、彼らを、ただ引き摺り下ろすだけでなく、

地面に激しく、叩きつけたのだ。

 アルフィーニは、墜落のショックから、二人を守ろうとして、

自分は暫く、身動きが出来なくなってしまった。

 だから、アルフィーニが、正気を取り戻した時には、
 
 十数人の、平服に重装備を着けた、一見、山賊の様な集団に

取り囲まれ、ミラン、ドリス共々、もう、迂闊に

身動きすら取れない、状況に陥っていた。

 ただ誰も、率先して、攻撃しては来ない。

 やはり、アルフィーニの姿は、脅威なのだ。

 薄暗い、鬱蒼とした森の中で、その体の鱗は、燦然と

黄金色に輝き、爪も牙も、そして眼光も鋭い。

 如何にも、何らかの攻撃力がありそうで、

迂闊な手出しは、出来ないのだ。

 よもや、大きさ並みの力と、飛行能力しかないとは、

到底、思われない。アルフィーニは、斥候部隊の

躊躇を利用し、二人を連れて、脱出を計ろうとした。

 しかし、躊躇と言う理性を、失っている者が、一人いた。

 それが、テオだった。

 他の者がじりじりと、間合いを計っていると言うのに

敵の力量を、考える様子も無く、いきなり剣を抜き放ち、

一番手近にいた、ドリスに切って掛かったのだ。

 ドリスが、女だからとか、思案しての動きではない。

 金棒を振り回す、伝説の巨人にでも、掛かって行くかの様に、

力いっぱい、大剣を振りかぶる。

 ドリスは、恐怖を覚えた。

 これほど、考えなしの、戦い方を見たのは、墓陵島で、

駐留隊と水軍上陸部隊の、戦闘を目撃して以来である。

 あの時は、オリザ姫を守って、巻き込まれぬようにさえ、

しておれば良かった。だが今は、それが敵である。

 ・・・怯えたら、負ける・・・

 相手の弱点を見出そうと、必死に視線を走らせる。

 すると、まるでけだものの様に、猛進してくる攻撃が、

実は、穴だらけである事が、見えて来た。

 テオは、己は戦士だと、催眠状態で、思い込まされている。

 剣術の型も、ある程度、記憶に植えつけられていた。

 だが所詮は、付け焼刃に過ぎぬ。

 体格と腕力だけでは、ドリスに優る事はできない。

 ドリスは、急速に落ち着き、見境を失っている敵と、打ち合った。

 ミランは、とっくに乱戦の真っ只中だ。

 ミランは、行く先々で鍛錬を積み、扱える飛び鎌の数を、

徐々に増やし、今や、長剣を振るいながら、三丁の鎌を、

自在に操るまでになっている。

 最早、「紅蓮の魔戦士」の二つ名を、嘲笑う者はいない。

 投げた本人以外、飛跡の予測が、立たないのだ。

 凄まじい速さで、回転する刃は、掠るだけでも、

相当なダメージになる。敵わぬと見た一人が、呼子を吹いた。

 近くに潜伏する、新手を呼んだのだ。

 一方テオと、激しい一騎打ちになったドリスは、

鍔迫り合いに持ち込み、相手の剣を宙に飛ばしざま、

返す刃で、その首を、掻き落とそうとした。

 避けようとしたテオは、足を縺らせて転倒した。

 すかさず、ドリスは、剣を逆手に変えて、相手に

突き立てようとする。一瞬、勝ちを見た隙が、生じた。

 テオは突然、懐中から短剣を取り出し、跳ね起き上がる、

勢いを借って、ドリスの足元を、薙ぎ払った。

 ドリスの膝下は、脛当て入りのブーツに、守られていたが、

両の膝から上が、刃を受けてしまった。

 剣士としての鍛錬が、ドリスに、悲鳴を上げさせなかった。

 が、テオと入れ替わるように、その体は、地面に倒れ込んだ。

 飛び鎌を投げるのに、常にドリスの位置を、確認していた

ミランが、気付かぬ筈は無い。

 「ドリス!!」

 丁度手元に戻った鎌が、テオに向かって放たれる。

 テオは、避ける事しか出来ない。

 ミランは、ドリスに駆け寄った。何とか立たせようとする。

 その足元の地面に、矢が突き刺さった。

 駆け付けた新手が、ボウガンを放ったのだ。

 ギャゥッ!と、アルフィーニが吼えた。

 アルフィーニは、ボウガンを恐れている。

 木々の間から、次々と放たれる矢に、恐怖を掻き立てられ、

アルフィーニは、耐え切れずに、単独で飛び立ってしまった。

 その時、枝間に張り巡らせた、霞み網のような物を、

アルフィーニは、突き破ってしまった。

 途端に、木の枝という枝から、べったりとした、蜘蛛の糸の塊が

吐き掛けられ、立ち上がっていた者全てに、夥しく張り付き、

その動きを奪いつくした。

 糸の雨を浴びなかったのは、既に地面に、昏倒していた者達と、

ミランだけである。ミランは、この隙に、と、ばかりに、

ドリスを担ぎ上げると、新たな敵の姿を、見定めもせず、

大急ぎで、その場を離れた。幸い、追っ手はない。

 それもその筈だった。ルテシアの斥候部隊は、

腹の部分だけでも、人の頭ほどもある、異常に巨大化した、

赤腹蜘蛛の大群に、襲われていたのだった。

          続く


 ああ、やれやれ・・・やっぱり、戦闘シーンは、難しい。

 それにしても、ミランは、成長したではありませんか。

 「長剣を振るいながら、三丁の飛び鎌を操る・・・」ってiconN06kao_16iconN06

 どうやるんだろうiconN04iconN05書いてて、想像がつかない・・・kao_12

 だけど、何か、そう書いてって、ミランが言ってる気がするから・・・kao_5icon10

 登場当初、暴れ牛に、吹っ飛ばされてたのに、ねぇiconN05kao_22iconN04

 では、また、次回。icon11スペードicon12kao11icon12スペードicon11セヴィリスが、何をしていたか、です。face07

   今日も、お越し下さって、ありがとうございました。

   



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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