2011年08月10日

こごま便り 7

こごま便り 7

 なんとか、寝顔をface04、と、娘に撮らせましたが、駄目です。

 近づくと、目を開けちゃう。目

 でも、リボン娘が撮ってるカメラ、と思うと、安心なのか、起き上がらずに、

 「なんですかぁ~~face04いびき眠いんですけどぉ~~いびきいびき


    The  Song  of  Wind  (99)

 一方、ジャドゥビスの関心事は、魔術師云々ではなかった。

 「ところで、昨日押し通った、盗賊の一味と言うのは、

  どんな奴ですか?名前や罪状は、明らかなのですか?」

 コンヴァラリア男爵は、酷く困惑した様子だった。

 帳面を繰りながら、何とか、ジャドゥビスだけでなく、

自分の疑問にも、答えが無いか、一生懸命探している。

 「それが・・・マチアス・メイガンなどと言う盗賊は、

  私も始めて聞く名で・・・その一味で、

  ユーディス・タンベルド、他三名、内、女一名・・・」

 「なんだって!!」

 それまで、一言も発さずに、沈黙を守っていたソルダムが、

大声を上げた。他の者も、驚きを隠せない。

 男爵は、それまで全然、喋ろうとしなかった男が、

突然立ち上がって、叫んだ事に、驚いた様だった。

 「いや・・・ここに、そう書いてあると、言うだけで・・・」

 ソルダムは、一瞬の間に、相当、混乱してしまったと見えて、

顔に血を昇らせて、肩で息をし、次の句が出て来ない。

 ジャドゥビスが、やや、落ち着いて、話を続けた。

 ユーディスを、直接、知らないからだろう。

 「ユーディス・タンベルドは、バルツァードの伯爵です。

  今は、王母アルナス后の、後見人を、務めているはず。

  ソルダムは、彼を良く知っているのです。

  驚くのも、無理は無い。」

 ソルダムは、書類上、サフィール出身の子爵だ。

 しかし、コンヴァラリア男爵は、ソルダムと言う名と、

世情を考え合わせ、彼の正体に、気付いたようだった。

 しかし、方便というものを、知り尽くした男爵は、

それを追求したりは、しなかった。

 「それで・・・お、女一名と言うのは・・・

  もしや、初老の女性では?」

 ソルダムは、衝撃から抜け切る間無く、急き込んで尋ねた。

 が、男爵の読み上げた名は、余りに意外すぎた。

 「女は・・・子供ですね。ミリカ・ルーブラ、五歳。

  ・・・親の名が、無いな・・・本当に、私がいなくて、

  こんなに雑なのは、初めてだ。処分せねばならん・・・

  いや、申し訳ない。滅多に、こんな手抜きは無いのです。」
  
 「ミリカ・・・あの子供か・・・」

 それは、あの厄災の日、ソルダムが唯一、己が手で救い上げた、

命だった。しかし、彼女の祖父は、力及ばず、ソルダムの、

手の中で落命した。天涯孤独となったミリカを、

母と共に、裕福な貴族に預ける以外、あの時の

ソルダムに、できることはなかったのだ。

 しかし、母と共に、タンベルディ村にいるはずの、

ミリカが、ユーディスと一緒に、なぜヘリアンタに来て、

盗賊と間違われたり、しているのか、ソルダムには、

さっぱり分からなかった。

   *  *  *  *  *

 虜囚の離宮で、思わぬ人物に、出会ったマヤリスは、

彼女を、自分の部屋に、連れて戻ることにした。

 塔の部屋は、普段、誰も近寄らない。

 老女を、それも隣国の、王太后を名乗る女性を、

そんな所に、放っては置けない。

 真偽の確認は、今のマヤリスに必要ない。

 名乗られた瞬間に、セシル・アルナスの前半生の記憶が、

全て、マヤリスの心に、流れ込んで来たからだ。

 それは、まるで、自分自身が、その生を、生きたかのように、

喜怒哀楽をも、伴って感じられる。

 塔の階段を、手を取って導きながらも、アルナス后の

感覚は全て、我が身に感じ取れる。マヤリスは、封じた力を

徐々に、開放し始めていた。

 居間には、まだ侍女が魔術で眠っている。その傍らを、

二人はすり抜けて、寝室に滑り込む。

 マヤリスは、疲れているアルナス后を、自分のベッドに

休ませ、自分は、安楽椅子に埋まった。

 そして、アルナス后から読み取った、記憶の中の名前を

拾い上げてみる。

 ・・・シド・ジュノス、トニー・クレーブン、

  ・・・マチアス・メイガン、テオ・ニコル、
 
  ・・・ミリカ・ルーブラ、ユーディス・タンベルド・・・

  そして、ソルダム・オヴィディオ。一番大切な息子。

 最後の名を読み取った時、マヤリスは、大気が動くのを感じた。

 その名の周りに、何か大きな、運命の流れがある。

 十年、じっと澱んで、動かない虜囚宮の空気も、

 彼に触れれば、動くのだろうか。

 マヤリスは、よこしまな企みによって、送り込まれた女性が、

その企みを越えた、運命を、背負って訪れた事を、感じていた。

 だから翌日、突然、医師のボニウスが、来訪しても、

・・・やはり・・・と思うだけで、驚かなかった。

 驚いたのは、ボニウスのほうだった。

 出入りの制限が厳しい、虜囚宮に、どこからとも無く、

女が一人、入り込んで来たと言うのだ。そして、その女を、

どうにかして、ここから出してやって欲しいと、マヤリスは言う。

 滅多に、王妃の方から、相談される事はない。

 これは、好機だった。ボニウスは、例の、

仮死の薬を、取り出して、言った。

 「そう言う事ならば、これの出番ですな。
 
  あなた様が、お亡くなりになれば、離宮勤めの者達は、

  一斉にここから、出されましょう。それに紛れて

  出るのです。他に手は、思いつきませんな。」

        続く


 「仮死の薬」グイン・サーガに、しょっちゅう登場する薬です。実在するのかなiconN05

 「ロミオとジュリエット」にも出てくるから、あったのかも知れない。icon11kao_12icon11

  華岡青洲の、麻酔薬みたいなものかな・・・ kao12 kao12 kao12

 ベラドンナと言う、中世ヨーロッパで知られた毒薬と、(目薬にもなる)kao_16

青洲の薬の、朝鮮朝顔は、同じ種類だしね。iconN10iconN11iconN10 興味あります。

   では、また、次回・・・おおっiconN04iconN04百回だぁっiconN04iconN08iconN04iconN08iconN04

     今日も、お越し下さって、ありがとうございました。



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(6)ファンタジー
この記事へのコメント
こんばんは~♪

猫ちゃん敏感ですね~^^
やはり気配を感じるのでしょうかね~??
・・という事は猫にも第6感が存在してるって事ですね、、、
もしかしたら人間以上かも・・・(笑)
Posted by DreamDream at 2011年08月10日 21:39
さあちゃんへ

きょうはPCで見ました、
いよいよ、第100回ですね、
携帯ではスクロールがたいへんで、中々読めません。すみません。しかし、あれだけの物語を100回、おめでとう、
敬服です^_^;
Posted by at 2011年08月10日 23:57
dear Dreamsさん
 ホント、敏感です。夕方足音が外から聞こえると、
 「パパだ!ご飯だ!うれしいな!!」って
にゃごにゃご言ってますが、私だと、脱兎の如く逃げていきます。
ご飯の後は、娘と遊ばなくちゃいけないので、また、
にゃ~ご、にゃ~ご、と大声で鳴きます。
 多分、「おね~ちゃん!おね~ちゃん!」と呼んでいるんでしょう。
Posted by さあちゃんさあちゃん at 2011年08月11日 13:57
dear 風さん
 実は、103回まで、できあがってます。(104回掛かってます)
 PCで読んで下さってる方の事、考えてませんでした。 
すみません。でも、途中切れなくて・・・
 それに、ぼろパソコンを、アナログおばさんが叩いてると、
もう、何やってんだか・・・
でも がんばって、なんとしても完結させます。
投げたり、端折ったり、死んだりしないように、気をつけます。
だから、見捨てないでやって下さい。
 お願いします。
Posted by さあちゃんさあちゃん at 2011年08月11日 14:06
さあちゃん そうですよ!

これだけけの 労作、完結させてください・・。
必ずね、

こうして、PC で読んでる時は 長いことは気になりません
乞う、、ご期待、ってとこですか~~ ♪
Posted by 風 at 2011年08月11日 16:51
dear 風さん
 明日、午前0時。第100回UPします。
 びっくりな物が、上がります。
まあ、あまり、嫌いな人はいないらしいので、大丈夫と思います。
ヒーロー5人って、その5人か~~!
・・・っていう、解答編です。
 
Posted by さあちゃんさあちゃん at 2011年08月12日 10:54
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