ぶるんねん文庫

　　　　　　　　　　

　さあは、日帰りで、ある所に行って来ました。

　写真は出しません。場所も、詳細も、書きません。

　なぜか・・・そこは見るからに、面白くなさそうで、

　無理に誘われ、入ってみて、

　期待を裏切らないほど、面白くない所だったからです。

　ただ、一つ言える事は、補助金とかで作られた、こんな所は、　　

　多分、日本中にいっぱいあって、見る人を、呆れさせたり、

　怒らせたり、失笑を買ったり、しているだろうと思うと、

　大変悲しくなってしまう、と言う事です。

　何とか、ならないものでしょうか、ね　



　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（９７）

　ユーディス達は、日没ギリギリに、サイスの関所に滑り込んだ。

　日没と同時に、関所は閉じられ、役人共は、政務を終える。

　それ以降に着いた旅人達は、この町で、宿を取り、

一泊せねばならない。サイスは、そのための町と言っても良い。
　
　だから、ぎりぎりに着いた、ユーディス達に、関所の役人が、

快く当たってくれる訳はない。それは覚悟の上だった。

　しかし、それ以上に、役人共の態度は、奇異なものだった。

　そわそわと落ち着かず、長々と、四人を待たせたかと思うと、

次々に別の役人が、入れ替わり、立ち代り現れ、繰り返し、

同じ事を聞いて来る。姓名、出身、行き先・・・・・

　外は、日がとっぷり暮れ、真っ暗だ。ユーディスは、苛々した。

　「何度、同じ事を言わせるんだ！！私は急いでいる！

　　責任者が出て来れば、一度で済む筈だろう！！」

　怒りを露わにした、ユーディスの前で、役人共は、

どこかぎこちない動きで、右往左往するばかりだ。

　その有様を、もし、ジャドゥビス達が見たら、

ほんの数ヶ月前、南の島国の、王宮で見た光景と、

そっくりである事に、一目で気付いただろう。

　だが、ユーディス達に、その知識は無い。

　それでも、異常を感じ取るのに、時は掛からなかった。

　それは、ミリカの通行証の、扱いについてだった。

　ミリカの通行証は、二通ある。

　一通は本物。アルナス后を、養育後見人にした物である。

　もう一通は、アルナス后の身に、危険がありそうな時、

方便に、シドの両親を、養父母に仕立てた物である。

　今、提示しているのは、方便の方である。

　だが、幾度も尋ねられる内、従者の一人が、口を滑らせ、

　「アルナス様が・・・」と言い掛けてしまった。

　本当なら、聞き咎められ、厳しく追求されるはずだが、

全く問題にされずに、済んでしまったのだ。

　・・・これは、おかしい・・・

　ユーディスは、やおら立ち上がり、またしても交代し、

立ち去りかけた役人の、腕を捕らえた。

　その途端、奥から大声を上げながら、役人の一人が、駆け出して来た。

　「そいつらは、盗賊マチアス・メイガンの一味だ！

　　捕らえろ！！」

　決定的な異常だった。マチアス達は、ここに来るまでに、

姿を消しているのだ。考えられる事は一つ。

　「ファーゴの罠だ！ミリカ、来い！！」

　二人の従者は、とっくに行動を起こしていた。

　馬を、どうにか一頭、奪い返し、ユーディスを乗せ、

その後ろに、ミリカを押し上げる。

　「各自、才覚を以て、ジュノス伯に報告！散れぇっ！！」

　従者達だけでなく、関所周辺に待機していた、先行隊もが、

一斉に散って行く。ユーディスは、背に、しっかりと

ミリカがしがみ付くのを感じると、馬に強く鞭を当てた。

　役人共が、立ち騒ぐ中、関所の市門を押し通る。

　数騎の追っ手の、足音を後ろに聞きながら、

ユーディスは、まだ、夕べの賑わいを残した、大都の通りを、

全速力で、駆け抜けていった。

　　　　　　＊　　＊　　＊　　＊　　＊

　その翌日の昼下がり。

　黒馬の背に、金髪の美少女を乗せた一行が、関所を訪れた。

　青年三名、若い女性三名の、一行である。

　ケルビンは、セヴィリスとユリシアを連れて、上空から、

ヘリアンタに入ろうと、手続きの終わるのを、待っていた。

　が、関所は閉ざされている。

　昨日、賊が押し通ったとかで、閉門されて、しまっているのだ。

　開門され次第、スムーズに通行できるようにと、昨日は不在だった、

責任者が、自ら政務に就き、手続きだけは、進めている。

　その、責任者が、ジャドゥビスの通行証を見て、声を上げた。

　「おお、モンティエ公爵様の、ご子息であられますか。

　　以前フェティエ訪問の折、随分とお世話になりました。

　　私は、ハルテ・ル・コンヴァラリア男爵です。」

　その名乗りに、ジャドゥビスも、驚きの声を上げた。

　「コンヴァラリア？では、ルテシア王妃のご養父ですか？」

　謀反人として、処刑されたと、思っていた人物が、

　生きていたのだ。驚かぬ方が、どうかしている。

　「ええ、まあ・・・私は、名を貸しただけですが・・・

　　お陰で、都所払いで済んで、以来、関所の番人です。」

　「では、謀反を起こしたというのは・・・」

　「王妃の実父、魔術師、アナトス・リグストラム。

　　未遂でしたが、捕まり、処刑されましたよ。

　　こっちは、とんだとばっちりです。」

　苦笑いをする、男爵の前に、突然、ケルビンが姿を現した。

　顔色が、真っ青だった。

　　　　　　　　　続く

　すみませんね

　また、登場人物、増やして・・・魔術師、アナトス・リグストラム。

　ケルビンの師匠です。６００年くらい、生きた事になってます。

　マヤリスとの関係は・・・？

　これが、第二章の重要な問題に、なっています。

　　　　では、また、次回　

　　　　　　今日も、お越し下さって、ありがとうございました