2011年07月31日

祇園祭の後

 祇園祭の後祇園祭の後

 今頃iconN06kao_16iconN06

 そうです。書いてる時点で、このくらいの日です。kao11icon10

 (何回分キープしてるんだろうね・・・point_4kao_01point_4

 初めて実物見ました。それも解体中。face08

 こんなにあっけない終わりとは、思わなかった。kao_01

 宵宮って言うのを、見ないといけないのが、やっとわかりました。クラブハートkao11ハートクラブ


    The  Song  of  Wind  (95)

 朝の光が満ちるのと、引き換えるように、歌声は静まり、

止んで行った。

 無音の静寂(しじま)のうちに、白い髪の娘は、

半ば透けていた頬に、血の色を昇らせ、人の娘と変わらぬ

見かけの姿に、変じて行く。

 オリザ姫が、歩み寄る。と、その足前に、細い娘は跪いた。

 「大気にあまねく在る、善と愛情の精霊を、身にまとうお方。

  風と霧の娘、ユリシアは、あなたさまとともに歩める

  運命をここに得て、こよなく幸せに存じます。」

 「善と愛情・・・?」

 その声に、歌い終えた人々が、アーチをくぐって現れた。
 
 皆が、始めに目にしたものは、オリザ姫の前に、ひれ伏す、

まだどこか幼い姿形の、白い少女であった。

 「これが、精霊?ただの女の子じゃん!!」

 無遠慮な声を発したミランを、シシィとセヴィリスが、

両方から小突いた。しかし、ジャドゥビスも、唖然としている。

 「十人目・・・もっと即戦力の、昨夜のフレイのような、

  ごつい戦士が、出るのかと思った・・・」

 オリザ姫は、屈んでユリシアの手を取り、面を上げさせた。

 「大気の善と愛情と言われたが・・・教えてください。

  私は、何者なのですか。この身に、既に宿る精霊とは?」

 「翳りの無い善意と、憎しみを知らぬ愛・・・としか、

  お答えの仕様が、ございませんが・・・

  あなた様の生来に宿る、全ての精霊の根源・・・」

 ユリシアは、半分は自分の意思、残り半分は、自分でないものに

憑かれて、話しているらしく、たどたどしく、言葉を繋ごうとしたが、

上手くできずに、黙りこくった。

 神官が、語りかけた。

 「ユリシア・・・風の娘よ。彼らと共にあって、

  怪異を、解き糺す事ができるか。」

 「歌が・・・シシィの歌の力があれば。」

 「えっ?ウチ?」

 シシィが、驚いた声を上げた。シシィを教えた神官が、

微笑んで言った。

 「あなたは、稀に見る、良い生徒でしたよ。

  歌姫シシィ。美しい歌に、宿る精霊も美しい。」

 ジャドゥビスは、その悠長な物言いに、苛らついた様だった。

 「美しい・・・では、怪異は倒せぬ。黒い霧の魔法を使う

  法術師ダトゥーラ・ファーゴから、三王女を取り返し、

  厄災の元を、取り払わねば、ならないと言うのに!」

 つと、ユリシアの右手があがった。

 点きっ放しになっていた、十数個のランプの火が、

一斉に消えた。そして、天井付近に止まっていた、

炎の小鳥達が、白い霧霞に取り巻かれ、慌てて羽ばたいた

かと思うと、急に集まり、燃え立つ赤毛の、大男になって、

中空から降り来立った。フレイの昼の姿なのだろう。

 急に領域を荒らされて、怒ったフレイは、拳大の、

炎の塊を、いくつもユリシアに投げつけた。

 が、ユリシアは、そのことごとくを、霧に包んで消し去り、

のみならず、フレイの周囲に、激しいつむじ風を起こさせた。

 渦巻く風の筒に、取り込まれ、フレイは足掻いて、

本性の炎の姿に戻り、それでも逃れられず、

次第に、その姿を縮めてゆく。

 神官たちが、歌い始めた。

 旋風の中で、フレイの炎の姿が、風に吹き消された、

と、思った時、旋風の外に、人間の姿の、フレイがいた。

 神官の歌が、フレイを甦らせたのだ。

 ユリシアが手をおろした。

 風は止んだ。充分だった。ジャドゥビスも、黙った。

 「ここを離れても、ユリシアの力は、減じませんか?」

 セヴィリスが、神官達に確かめた。

 「そのために、あなた方に、歌って頂いたのです。

  ここは、クァランドール九神を祭る、聖堂ですが、

  人々は、様々に願い事を、持ち込むものです。

  中には、是非とも叶えなければならぬ、願い事もある・・・

  あなた方の願いのように。だから、精霊が必要なのです。

  ユリシアは、あなた方と、共にある限り、今と同様、

  特にシシィ、あなたがいる限り、存在し続けられます。」

 「他の者は、ユリシアの存在に、どう係わっているのですか?」

 「共に歌われる事で、力の増減に、係わりはしますが、

  シシィの存在こそが、即ち、ユリシアの存在となります。」

 「シシィから、遠くに離れる事は?」

 「人の姿を保つ事は、できるでしょう。

  しかし先程、試された様な力は、無理です。

  できるだけ、近くにいてください。」

 「ウチも、剣術習ろぅた方が、ええみたいやな・・・」

 シシィが、一人ごちた。いくさ場に、共に出なければならぬと、

言う事なのだ。怪異相手では、剣術もどれほど役立つか、

分からぬが、最低限の護身は、必要だろう。

 「あの・・・私の身に宿る精霊については・・・」

 オリザ姫が、一番の気がかりを訴えた。

 「精霊が、存在を得た瞬間に、己の名と力を自覚するように、

  あなたの内なる精霊も、顕在化したとき、その存在理由も、

  共に、あなた自身に告げることでしょう。

  お尋ねになると言うことは、まだ、その時が

  来ていないと言う事です。

  常に、己の内なる声に、耳を傾ければ、聞き取れる日が

  訪れましょう。その日まで、力を尽くしなさい。」

 全て、語らねばならぬことは、語りつくされたようだった。

 出立の時が、迫っていた。

            続く


    では、また、次回・・・iconN08icon12iconN07iconN11iconN07icon12iconN08

       今日も、お越し下さって、ありがとうございました



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(2)ファンタジー
この記事へのコメント
こんにちは~♪

解体中と云えども、これだけの写真が撮れたのなら良しとしましょう~(笑)
左の写真は間違いなく長刀鉾ですよね~
この上のキンキラの金具を外す時(もう少し後かな?)私も見てましたよー
・・という事はさあちゃんと近くに居た事になりますね、もしかしてすれ違ったり、
肩がぶつかってたりなんかして・・(笑)
Posted by DreamDream at 2011年07月31日 18:38
Dear Dreamさん
 とっくに終わった話題で、驚かれたでしょう。
ウチのオヤジが、行こう行こうって・・・
観光は、計画的にしないと、外すって知ってたのに、
突発的に行って、やっぱり外しました。
 長刀鉾は、作業用材木が通るので、通行が止められ、
それでやっと一枚だけ。右に少し入ってます。
凄い人で、人波に押されて、留まれませんでしたから、
Dreamさんと、・・・どうかなあ?ビミョーなとこですね。
 来年は、体調と計画整えて、宵宮目差したいです。
 
 
Posted by さあちゃんさあちゃん at 2011年08月01日 10:26
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