ぶるんねん文庫

　
　５人の実体モデルの、

　冠番組で、王様が、くじ引きで、

　王様役に当たっちゃった。

　ソルダムみたいに、

　カッコ良くなくて、

　西洋バカ殿様みたいで、

　ひど～～い

　でも動きは、一番、さまになってる。

　さまになりすぎて

　どうしても、顔が出ちゃう。

　顔、使っちゃ、まずかろう。　で、こんなシャシン・・・


　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（９３）

　六人の神官は、聖堂の六方向から、それぞれ現れ、

石造りの建物に、声を響かせながら、静かに一行を取り巻き、

歩を進め、その輪を狭めて来る。

　案内されて来たと言うのに、不法侵入者として、

捕り込められるか、と、皆が色をなした時だった。

　ゆらり、と、上部の空気が動いた。

　ドーム内に反響した声が、建物中央の空間で、寄り集まり、

凝縮して、何かを形作ろうとしている。

　陽炎のような、揺らぎが、気配の範囲を超えて、

目にはっきり見えるようになった。　

　突然、揺らぐ大気が、炎となって燃え上がった。

　歌声の高まりと共に、炎は幾つもに分かれ、揺らめいた残像を

尾に引いて、宙を漂い、堂内の角ごとに置かれた、ランプに

意思あるもののように、各々入り込んで、燃え上がった。

　夕日は、赤い残照を収め、夜闇が迫っている。聖堂内は、

最早薄暗かったのだ。そして、その暗い中空に、

ひときわ大きい、炎の塊が残っていて、静かに、

聖堂の床中央、魔法円の描かれた上に、着地した。

　歌声がやんだ。炎は解れ、立ち上がり、伸び上がった。

　形は、人であった。しかし、背に翼があり、

人ならぬ大きさであり、なにより、その頭部は、燃え上がる

炎で作られた、猛禽類のそれであった。

　「フレイ、静まれ」

　神官の一人が命じた。フレイは、悪戯っ子のように、

驚いて、目を見張っている一行の、特に少女達の顔を、

わざとらしく覗き込むと、ふわりと炎の翼を広げて、

また宙へ舞い上がった。と見るや、その体が、細かく

小さく分かれ、欠片はそれぞれが、無数の炎の小鳥となって、

天井近くの彫刻に止まり、嵌め込まれた、金や宝玉を煌めかせた。

　この世ならぬ光景に、皆はため息をついた。

　ケルビンのみは、余り驚かない。火と電撃を自在に操る、

闇の魔人としては、驚くわけにいかない。

　「あれは・・・火の精霊？

　　あのような、人格のある精霊は、初めて見た。」

　「火にも水にも、意思はあります。

　　その意思に、沿った波動を与えてやれば、姿形をなし、

　　人格を備えましょう。」

　神官の一人が答えた。セヴィリスは、この六人の神官の内、

一体誰が、十人目の星なのか、それぞれの顔を、見比べている。

　それに気付かぬのか、神官たちは、静かな口調で、語り続ける。

　「この聖堂は、人が発する最も明確な波動、すなわち、

　　声を、増幅させる造りに、なっています。

　　また、我々六人の、声を共鳴させ、同調した波動を、

　　集積する働きも、あるのです。

　　正しい音と、調子で、発せられた六人の声は、

　　この聖堂の持つ作用で、自然の持つ、微かな意図を凝集し、

　　先程の、フレイのように、人となりを持った姿で、

　　存在させ続ける事が、出来るのです。」

　セヴィリスは、はっとして、上方の彫刻に留まる、

炎の小鳥の群れを見た。法術師特有の、研ぎ澄まされた感性には、

小鳥の群れは、大きな、力強い、一叢の炎として、感じ取れる。

　「我々は、十人目の仲間を求めて、ここに参りました。

　　しかし、あなた方は、声の同調性ゆえに、僧達の中から、

　　選ばれた方々なのでしょう。・・・どなたも、欠け得ぬはず・・・

　　と言う事は、我々の求める十人目は、人には非ず。

　　あなた方が、呼び出して下さる、精霊だと言う事ですか？」

　セヴィリスの質問に、若い神官が、微笑んで答えた。

　「一つを除いて、そのとおりです。

　　私達は、六人で、ここにいる事に、意味があるのです。

　　ただ、あなたたちと、共に行く者を、呼び出すのは、

　　私達では、ありません。あなた方自身が、その声で、

　　呼び出さねば、ならないのです。」

　　　　　　　　　　　　続く

　
　私は、この宇宙の全てが、もしかしたら、なにか共通の、波動で

　共鳴し合う事が、できるのではないかと、考えています。

　その共通項を見つけられれば、居ながらにして、心を宇宙の果てまで、

　飛ばす事もできるのだろうと、または、全世界の人々と、共通の理念を

　持つ事ができるのだろうと、考えてしまうのです。

　それが、この「風の歌」のテーマの、ひとつでもあります。

　ひとつ・・・ほかにもある？・・・あるけど、また、追々に・・・

　　　　では、また、次回　

　　　　　　　今日も、お越し下さって、ありがとうございました