2011年06月19日

第二章・・・その前に\( ^o^ )/

第二章・・・その前に\( ^o^ )/

 ・・・どこかで見た風景?kao_01
 (恥・恥・恥)

 下手な絵を載せて、
 すみません。kao_6icon10

 でも、ここが、
 今回の舞台なんです。icon12icon06icon12






    The  Song  of  Wind  (76)

 「おはよう、おばあさま。起きて、朝ごはんにしましょ。」

 セシル・アルナス王太后は、ゆっくりと目を開いた。

 北国の夏の朝は、早い。

 陽はとっくに昇り、小鳥達の声がかしましい。

 「おお、ミリカ。おまえはいつも、早起きだねぇ。」

 「だって、おなか、空いちゃったもん。」

 アルナス后は、つぶらな瞳で、自分を見つめている少女に、

手を引いて貰って、やっと上半身を起こした。

 「もう一回寝るの、無しよ。木苺が傷むって、

  トニーが、ふくれちゃうから。」

 ミリカは、小踊りする様な足取りで、部屋を出て行った。

 アルナス后は、微笑ましいその後姿を見て、

これが、二旬節前より以前であったらと、ため息をついた。

 だが、ここは、住み慣れたサフィール城ではない。

 ここは、タンベルディ村。領主シド・ジュノス伯爵の別宅である。

 
 およそ一旬余り前、バルツァードの都サフィールを、

激しい天変地異が襲った。アルナス后は、辛くも難を逃れ、

険しい山を、十日ほどもかかって越えて、故国ルテシアに、

避難して来たのだった。

 山の麓地は、かつて、ユーディス・タンベルド伯爵の父が

領した、タンベルディ村。先代のタンベルド伯爵は、

アルナス后の婚姻に付き従い、領地を、親族のジュノス伯爵に預け、

バルツァードに赴いたのである。

 
 時は流れ、花嫁として後にした国に、一避難民として戻った

アルナス后の傷心を救ったのは、一人息子にして、

バルツァード王、ソルダム・オヴィディオに託された、

小さな少女、ミリカ・ルーブラだった。

 彼女こそ、何もかもを、失い果てているのに、

健気な仕草で、ともすれば、落ち込む一方のアルナス后を

慰め、気を引き立てようとする。

 人懐こく、怖じない性格で、別宅の管理人、トニーとも、

すぐに打ち解けたし、苦しい山越えの間にも、ユーディスを、

「おじちゃま」、出迎えに赴いたジュノス伯爵を、

「シドさん」と呼んで、すっかり仲良しになっている。

 姫育ちで、男達に慣れないアルナス后には、

ごく普通の、街娘のミリカが、どれほど助けになった事か。

 何事も侍女を介する、王侯の暮らしを、続ける事は、

この非常時、もはや叶う筈がなかった。

 共に、逃げ延びた侍女達には、皆、暇間を取らせた。

 王太后は、齢半世紀を経て、初めて自分の手で、

服を着、靴を履いたのだ。その当たり前の動作を、

習得した時、アルナス后は、元ルテシア王女として、

都ヘリアンタに、上ることをやめた。

 この、バルツァードに近い、タンベルディ村で、

ユーディスやシドの世話になりながら、息子に託された、

少女を自分の手で、育てて行こうと、決心したのだ。

 器にスープを注ぐ事に始まり、二旬を経た今では、

水を汲み、土を耕し、農家の女達の、十分の一位の事は、

自分で出来るまでには、なっていた。

 それでも、気の晴れぬ時がある。

 国王、オヴィディオの行方が、杳として知れぬままなのだ。


 「奥様。おはようございます。」

 管理人のトニーは、アルナス后に、一生懸命尽くそうと、

気を配ってくれ、僻地で物が揃わぬと、嘆いたりする。

 今朝も、パンとミルクばかりではと、木苺が添えてある。

 サフィールの困窮を思うと、申し訳ないと、

アルナス后は思う。それが、つい、別の言葉になる。

 「まだ、ユーディスもシドも、戻りませんか?」

 トニーの視線が、一瞬ミリカに向いたが、

ミリカは、木苺を頬張るのに、夢中になっている。

 「まだ、戻りません、奥様。一昨日までの雨で、

  きっと、道が悪いのでしょう。」

 しかし、これは嘘だった。シドは、昨夜遅く

戻って来たが、村人達に呼び出されて出かけ、

機嫌悪く帰って来て、そのまま、寝床を暖めることなく、

夜明け前に、再び発って行ったのだ。

 ミリカは、シドの帰った時には、眠っていたが、

夜中に、村の代表として、マチアスとテオが来た時、

起き出して来ていた。トニーは、ミリカに寝床へ

戻るよう言ったので、シドのことは、知るまいと思ったが、

ミリカは、シドを、集会に連れ出そうとする、マチアス達の

激しい物言いを、こっそり、聞いてしまっていたのだ。

 「いつまで、隣の国のお后を、お預かりするんだ。

  お后を頼って、次々とよそ者が、入り込んでくる。

  早く、都に行ってもらわねば、おちおち眠れやしない!」

         続く

第二章・・・その前に\( ^o^ )/

 第二章から、新展開です。
  icon22kao_13

 タンベルディ村は、ユーディス・タンベルド伯爵の、

 お父さんの故郷です。日の出

 この村には、

 明確なモデルがあります。


 それは、TVで有名な、「D・・・村」kao_16

 このファンタジーの下書きを始めたのが、2010年4月。icon12ハートicon12

 その時から、田園風景のモデルは、あそこだなぁ、って思っていたので、

今回の、現実の災害とは、無関係な設定のはずでした。

 それが、原発のせいで、こんな事になるなんて・・・kao_9icon15

 広島に住んだこともあるので、核エネルギーについては、反対派です。iconN04kao11iconN04

 だから、「D・・・村」には、放射線に負けずに、icon09頑張ってicon09欲しいです。

 そう思って、あえて固有名詞が、特定できるように、書きました。

 ・・・と、言う事は、ユーディス、シド、トニー、マチアス、テオ、の5人は、

 ・・・あの5人・・・ですkao_19icon06。主役5人に比べると、あまり、実体は、反映してません。

 でも、心は、頑張れ浪江kao07、頑張れ福島kao07、頑張れ東北kao07です。

       では、また、次回。

     icon03 クラブ iconN10 icon01 tenki_2 icon01 iconN10 クラブ icon03

         今日も、お越し下さって、ありがとうございました。
 



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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