2011年06月18日

ホントの最終回

ホントの最終回 
 やっと見つけましたkao01

 お城のイラストkao05iconN04

 大体、こんな世界観です。kao06

 娘に描かせようとしたんだけど、

 学校の課題が忙しいとかkao11

 “MOE”1989年11月号、

 東 逸子さんの絵です。


 
     ダイヤicon12王冠icon12ダイヤ  


 


    The  Song  of  Wind  (75)
 
 王妃は、わが意を得たりと、姫を抱き寄せた。

 「恐ろしいのならば、行かなくてよい・・・

  陛下、何も無理に・・・」

 「しかし、ラミア達を救えるのは、姫だけだと・・・」

 「でも、シシィなしで、私はどうやって、三つ首犬の傍を

  通り抜けるの?思っただけで、足が震えるの。」

 「姫・・・シシィがいないから、行けないというのか?」

 「そうよ。シシィは、本当の歌姫よ。

  セヴィリスを、歌で助けた話、お聞きになったでしょう?

  シシィがいれば、私も勇気が出るわ。でも、シシィは・・・」

 「妃よ、シシィを、放してやってくれぬか。

  私に課せられた、妹達への責任、果たさせてはくれまいか。」

 国王の懇願に、王妃は、沈黙を持って、不承不承の肯定した。

 「ありがとう、お母様」

 「その代わり、必ず無事で・・・」

 母は、それ以上の言葉も無く、娘を抱きしめた。

 姫も逆らわず、幼い時の様に、その胸に頭を預けている。

 「行こう、アルフィーニ。シシィの所へ!

  お前がいれば、テラスから連れ出せる。」

 天馬に変身したアルフィーニに、身軽に飛び乗ったのは、

ソルダムだった。純白の天馬が、満月を背に飛び立った。


 シシィは、テラスに出て、ひたすらに空を

眺め続けていた。周りを、高い石の壁に囲まれ、

空は、僅かにしか見えない。

 その僅かな空を、渡る太陽と月だけが、この奇妙な部屋で、

正しく方角を知る、唯一の手懸りだった。

 青灰の間は、一見、いかにも全うな部屋で、

牢獄も、覚悟していたシシィは、一瞬拍子抜けした。

 が、正八角形の、この部屋の恐ろしさは、

侍女が、夕食を運んで来た、後になって判明した。

 八方に、窓と掛け布の下がった壁が、交互にある部屋で、

四つの壁のどれかが、仕掛け扉らしい事は、すぐにわかった。

 だから、掛け布の奥から、侍女が現れても、驚きは

しなかったが、侍女が立ち去った後、異様な振動と共に、

部屋の床が回転したのには、さすがに愕然とした。

 これが、この部屋の住人の、方向感覚を狂わせる、

恐ろしい仕掛けだった。

 ただシシィは、幼い日のオリザ姫と違い、

空に行くものを見て、方角を知る知識がある。

 それに、床は回るが、四つのテラスは動かない。

 だから、シシィは、昼も夜も、テラスから、空を眺めた。

 ・・・もう、みんなは、行ってしもたんかなぁ・・・
  
  こんな事なら、お兄ちゃんらの言う事聞いて、

  ずうっと家に、居ったらよかった・・・

 一人で、夜空を横切る満月を、追っていると、

後悔の涙がこぼれた。その満月も、折り重なる屋根の

向こうに隠れ、見えなくなった。夜明けが近い。

 月明かりに、夜の終わりの淡藍色が加わり、

星々が眠たげに、その瞼を下ろし始める中、純白の

流星の様なものが現れた。シシィは、身を乗り出した。

 「アルフィーニ!?」

 大きな翼の間から、声が降って来た。

 「シシィ!!」

 「ソルダム!どないしたん?」

 「王妃様から、許しが出た。一緒に行こう!」

 アルフィーニの背から、ソルダムが手を差し伸べた。

 シシィは迷わなかった。部屋から持ち出したのは、シタール一つ。

 それを肩に、ソルダムの差し出す手を取り、天馬に乗る。

 「かまへんの?行ってしもて・・・」

 「オリザ姫が、王にゴネて見せてくれたんだ。

  シシィがいないと、怖くて行けないと。」

 「そうやったん・・・でも、他のだれよりも

  ソルダムが来てくれて、うれしい・・・」

 シシィは、ソルダムの首っ玉に、抱きついた。

 アルフィーニが、降下を始めたので、しがみついた振りを

したのだが、そんな振りは、必要なかった。

 「アルフィーニ、このまま、港まで行ってくれる?

  上空から、夜明けが見たいな。いい?」

 ソルダムの言葉に、アルフィーニが、再び上昇する。

 裏門で待つ一行の、はるか頭上を飛び越え、

沈み行く満月に、一直線に向かって、天馬が飛ぶ。

 「ずっれーよぉーっ!!」

 ミランの喚く声を、下に聞きながら、シシィは、今だけと

自分に言い聞かせながら、二人でいられる幸せを、噛み締めていた。

 行く手にあるものは、解決の見えない、困難な旅路。

 照らす月光は、不吉な赤みを含んでいる。

 ・・・それでも、一人ぼっちで待つより、ええやん・・・

 ウォラルトンの港は、もう真下に見えてきていた。

        第一章 終わり・・・第二章へ続く


 終わりました。第一章がiconN04iconN04

 満月の夜に始まり、満月の夜に終わりました。iconN08 iconN09 iconN08 iconN09 iconN08

 前回と、同一の歌詞から取ったシーン満載iconN04iconN04

 ここは、やっぱり、ケルビンではなく、ソルダムでないと、ねiconN06iconN36kao_10

 では、次回より、第二章「聖域と皇帝」 頑張ります。

       今日も、お越し下さって、ありがとうございました

 

 

  



 





  




  

 
 
 




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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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