2011年05月28日

着物の作り方 その6

着物の作り方 その6
 袖です。着物と違って、丸い袂とかは、ありません。kao05

 この大きい筒に、手を出す部分と、袖口下の区別の為、

 「虫留め」と言うのをつけます。はちありてんとうむし

 虫留めは、結構、使えるテクニックです。icon22

 覚えておくと、子供のズボンのポケット口とか、

 かぎホックの掛ける所が、無くなったときとか、便利です。icon06kao_10icon06


    The  Song  of  Wind  (68)

 ソルダムは、黒い霧が巣食っていた、白い石室の事を、

考え続けていた。セヴィリスの救出後、ケルビンはすぐに、

小炎を消してしまったし、ダルトンは、全員の無事を、

見届けると、石室の崩れた出入り口に、杖を一振りし、

光の膜のような物で、覆ってしまったのだ。

 光は、一瞬後には消えていたが、二度と、何ものも、

出入りできぬようにしたのだと、素人にも理解できる。

 だから、もう、確かめようも無いのだが、

人が座るためとは思えぬ、あの巨大な玉座は、

昔、確かに、サフィール神殿で見た物に、間違いないと、

ソルダムには思われるのだ。


 一行は、ジャドゥビスが乗って来た船で、

墓陵島を出て、海上にいた。

 モンティエ公爵は、彼等を客人として、丁重に扱い、

一人か、二人ずつの船室を、宛がってくれたが、

不眠不休が続いたにも関わらず、物思いの多いソルダムは、

少しも眠れないでいる。と、そのドアがノックされた。

 返事に答えて、入ってきたのは、困り顔のミランである。

 「悪いんだけど、オレ、この部屋で、寝かせてくんない?

  セヴィリスの具合が悪くて、ケルビンとダルトンが

  看てるんだけど、あれじゃ、眠れなくて・・・」

 身分制の厳しい、モーズロードンの習慣で、どうやら、

ミランは、セヴィリスと同室にされたらしい。

 だが、墓陵島を出る時には、まだ、セヴィリスは、

はっきりと、意識を取り戻して、いなかったのだ。

 ソルダムは、セヴィリスが気に掛かり、個室は、

ミランに貸してやって、術師二人が詰めていると言う、

セヴィリスの所へ、行って見る事にした。

 どの道、ダルトンにたずねたい事が、多々あった。

 
 セヴィリスの意識は、戻っているとは、言えなかった。

 夢うつつをさまよい続け、時にうわ言を叫び、暴れたりする。

 ことに、今は船上。万一錯乱して、海に飛び込まれでも

したらと、ケルビンとダルトンが、付きっ切りである。

 一度、深い眠りに落ちれば、落ち着くはずだと、

術師二人も船医も、全員意見は一致しているが、

ケルビンの深睡の術が、何故かかからない。

 船医の眠り薬も効かない。

 思い余って、ケルビンは、精神と体の動きを、

遮断すると言う、荒療治を施したが、一時しのぎの

対処療法、というより、周囲を慮ってやっただけに

過ぎなかった。それも、いつ解けるかも知れず、

全く目が離せない。

 ソルダムが、ダルトンに様子を尋ねている所に、

シシィが来た。ケルビンは娘に、魔術師である所を、

余り見せたくないらしく、邪険に、部屋で寝てろと言う。

 それに歯向かってシシィは、ウチ、別に寝不足や無いもん、

などと、言っている。

 オリザ姫に、モンティエ公から侍女が付けられ、

姫守りから、解放されたドリスが、本気で寝入ってしまい、

 喋る相手に、不自由したのだろう。

 「どないなん?セヴィリス。

  えらい、しんどそうに見えるけど。」

 「しかたないんだ。錯乱して、暴れられたら、

  モンティエ公にも、迷惑を掛ける。」

 「暴れへんように?どないしてるん?」

 「金縛りの状態に、わざと置いている。

  動きたくても、動けないようにな。」

 ソルダムが、痛々しげに、眉根をよせた。

 手枷足枷の縛めより、よほど辛い状態だ。

 シシィも、同じ感想だったらしい。

 「そんな・・・かわいそうやん!

  ずうっと、金縛りやなんて・・・」

 「まずいのは、術師は、自力で解く方法を、

 体得している事だ。だから時々醒めて、暴れ出す。」

 話しているうちに、また、術から醒めて来たのだろう。

 本復して、醒めているのでない証拠に、額に脂汗が滲み、

表情が、苦しげに歪む。

 ケルビンは、利き手の左掌に念を集め、今にも

飛び起きそうな、セヴィリスの額にかざした。

 「待って!」

 セヴィリスは、なんとか体の動きを取り戻そうと、

手足を小さく痙攣させ、閉じた瞼の下では、眼球が、

激しく動いている。

 その様子に、黙っていられなくなったのだろう。

 シシィは、父親を押しのけて、ベッドの傍らに跪き、

半眠半醒のセヴィリスに、呼びかけた。

 「セヴィリス、分かる?聞こえる?

  なぁ、何の夢、見てんの?喋れたら、教えて?」

 セヴィリスは、呻き声をあげ、荒い息の中から、

搾り出すように、言葉を発した。

 「・・・エルシー・・・」

 「エルシー・・・?だれ?」

 ダルトンが、答えた。

 「妹だろう。戦乱で、一家全滅したと、聞いている。」

 「そう・・・エルシーが、出て来るん?」

 セヴィリスは、自由にならない体で、小さくうなずいた。

 「・・・歌を・・・」

 「歌?何のうた?」

 「小ねずみの・・・猫姫と冒険する歌・・・」

 「どんなんやった?」

 戸惑って振り返ったシシィに、ソルダムが、

出だしを聞かせた。

 「確か、『音符小ねずみチュチュパは、麦の箱

  勝手に入って、食べ放題・・・』そんな歌だったと

  思うが・・・」

 「歌を教えてと、エルシーが来る・・・

  だけど、うまく教えられない・・・」

 セヴィリスの、開かない目の、睫毛の間から、

涙が、ひと筋こぼれた。

 「思い出した。最後まで歌えるわ。

  大丈夫。ウチが、エルシーに教えたげるね。」

 シシィは、立ち上がり、大きく息をつくと、歌い始めた。

 それは、子供のお話を歌詞にした、童謡だった。

       続く


 金縛り、しょっちゅうなります。

 ただ、慣れると、起こりそうな予兆がありまして、分かるんです。

 分かると、寝返りして、横向いちゃう。別に、術師でなくても、大丈夫です。

       icon12iconN08icon12スペードicon12iconN09icon12

 ・・・ケルビンが左利きだって・・・書いちゃっていいのかな?

 いいよね。きっと、分かる人は、分かってくださってる。kao_10

 実体三次元モデルが、だれなのか。iconN07 iconN07 iconN07

     では、また次回 iconN12 icon01 iconN12
  
         今日も、お越し下さって、ありがとうございました  

  



 



 

 







 



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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