ぶるんねん文庫

　こごま君です。

　昨年８月２４日生まれとか。

　乙女座です。そのせいかどうか・・・

　おとなしい。およそ、猫らしくないおとなしさ。

　ねこじゃらしを振っても、「なにそれ」って言う顔。

　オヤジにもあまりいい顔せず、オバサン（私）の事は大嫌い。

　おねえちゃん（娘）にだけ甘える。ねこじゃらしで遊んでもらう。

　おねえちゃんの前でだけ、猫なこごまなのでした～。（『土曜日のにゃんこ』の、まね）


　　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（６１）

　「それにしても、よく迷子にならなかったよね。

　　門が開いてたって、大騒ぎだったしさ。

　　控えの間まで、結構ややこしかったでしょ？」

　ミランは、騒ぎが起こった時、二人からはぐれたら、

置いてけぼりにされると、必死について行ったのである。

　しかしシシィは、平然としている。

　「そんなん、簡単や。ウチ、町の様子探って、

　　お城に知らせ、って言われたけど、町なかに

　　変わった事て、別にあらへんかったんや。

　　せやのに、お城はずうっと、黒っぽい靄が

　　取り巻いてるやん。

　　これは、お城だけがアカンのやな、って思もて、
　　
　　門の前まで行ったら、何や、三つ首犬の化けモンが、

　　暴れて、えらいこっちゃって、門が開け放ってあるねん。

　　ほんで見てたら、ジャドゥビスがおったから、

　　そぉっと入って、そのままジャドゥビスの後を、

　　ついて行ったんや。」

　ジャドゥビスは、がっくりと気落ちした。

　いくら、敵意の無い尾行でも、こんな、何の武術の心得もない

女の子の尾行に、全く気付かなかったとは、武官候補としては、

羞恥の限りである。が、ミランの反応は、もっと率直だった。

　「へぇ、すっげ。シシィ、あったまいいじゃん。

　　オレ、シシィの、そういうトコ、好きだよ。」

　「あんたに好かれても、嬉しないわ。

　　大体、あんたみたいに、軽々しいに、人に

　　好きや好きや言う人、知らんわ。

　　ちょっとは、口閉じて、手足動かす練習してみ。

　　剣術かて、だまってしたら、上手ぅなったって、

　　ソルダムに言われたやん。」

　歌手だけに、シシィの声は、潜めていても通路に響く。

　隠密行動中なのだ。ジャドゥビスは、気が気でないが、

ケルビンは何も言わない。大方、諦めているのだろう。

　程なく、壷形棺の並ぶ、行き止まりの広間に出た。

　ジャドゥビスが、オリザ姫に教わった仕掛けで、壁を上げる。

　外は、水妖魔王と化した、巨漢王の地下墓地である。

　さすがの、シシィとミランも、その不気味さに黙った。

　ケルビンは、最後の望みを託して、シシィを振り返った。

　できれば、ここからでも、愛娘を引き返させたかったのだろう。

　だが、蒼ざめながらも、シシィはついて来る。

　道は、極端に悪くなった。人が歩く事を、想定していたか、

疑いたくなるほどだ。

　ケルビンは小炎を増やして、用心を重ねた。

　小水妖も、どこから現れるか、分からない状態だった。


　一方、ソルダム達は、ケルビン達の出発前の、

その日の昼過ぎに、墓陵島に到着していた。

　夕方頃到着と、漁師達は説明していたが、潮目も風向きも、

非常によかったらしい。明るい午後の日差しの中で、

崖下の桟橋に、下ろされた三人は、途方に暮れた。

　大灯台の残骸を、墓陵島駐留軍の兵士達が、片付けている。

　それが、桟橋から見えると言う事は、向こうからも、

ソルダム達の姿が、見えているはずなのだ。

　ただ、時折漁師の小船が、潮待ちする事は、あるらしい。

　上陸者さえなければ、あまり注意を払わぬ習慣だと、

漁師達は言ってはいた。

　しかし、ソルダム達は、上陸してしまっているのだ。

　少し船酔いして、座り込んでいるオリザ姫を、

無理に促して、作業兵から、死角になる位置へ移動する。

　そこから、崖を切り込んだ階段を上がるのだが、

ただの階段でさえ、難儀な姫君である。

　ソルダムは王宮で、足弱な女達を、多く見ていたから、

今更、驚きはしなかったが、自身も庇われて育った側だ。

このような局面で、人に手を貸す余裕が無い。

　ドリスの負担は、計り知れない。

　ようやく、上り詰めた時には、今度はドリスがへばっていた。

　日没が近づき、作業を終わって、人気が無くなって行く。

　大灯台は、下部の土台部分を残し、元の形状を

想像できぬほどに、崩れ果てていた。

　崩壊当時、上部にいた者が、生きて無事にあるとは、

普通なら、考えられないところだが、セヴィリスは、

法術を修め、空中を飛行できるという。

　助かっている可能性は、常人より高いだろう。

　ソルダムは、もう一つの手懸りについて、考えてみた。

　「白い石の玉座の間」は、確かに、この世に現存する。

　ソルダム自身が、見ているのだ。

　だが、「ここにも」あるのかと思う。

　あるとすれば、地上か地下か。

　駐留兵の宿舎は、大灯台の崩壊時に、それに面した側、

約四分の一が崩れていた。そこを補修して、使い続けている。

　しかし、ソルダムの記憶にあるような、非日常的な

空間を、中に有しているとは思えない。

　大きな建造物は、もう一つ、葬祭殿だが、

オリザ姫の話では、地下はともかく、地上にそれほど

秘密めいた部分は、無いらしい。

　・・・やはり、地下か・・・

　ソルダムは、二人を、灯台の残骸近くに潜ませ、

一人、手近な丘に登ってみた。足場の感じからすると、

ここも、墳墓の一つらしかったが、構ってはいられない。

　頂上から見下ろすと、辛うじて、残骸の内側が望めた。

　地下に、空間はありそうだった。

　夜更けて、見張りが手薄になる頃に、忍び込むしかない。

　　　　　　　　　続く

　中途半端な切り方の上、話の進まないところで、すみません。

　飛ばしちゃうと、アルフィーニは？ってなりそうで、

結局、省略もせず、そのまんま・・・

　　　　　　　　　

　年齢ですね。だれも尋ねてくれてないけど、

　作中で、成長させる心算で、登場時の年齢、以下の通りです。

　オリザ姫・・・１５歳　　ドリス・・・・１６歳　

　シシィ・・・・１８歳　　アルフィーニ・・・？

　ジャドゥビス・１７歳　　ケルビン・・・・・？

　ミラン・・・・１９歳　　セヴィリス・・２０歳

　ソルダム・・・２２歳　　ケルビンは、１６８歳なんて言ってますがね。

　それ以外の、男性陣の年齢順は、実体モデルの順番通りにしました。

　その方が、ストーリーに乗せ易かったから。

　でも、実体は、みんな「あらさー」なんだな。

　作中、２年経過の心算です。書くほうは・・・何年かかるだろ

　　　　では、また次回。　　

　　　　　　　　今日も、お越し下さって、ありがとうございました