ぶるんねん文庫

　娘の手のデッサンが、ありました。

　スケッチブックから、こっそり盗み撮り。

　ね　　似てるでしょう　　　

　え　　親馬鹿ですか　　　　


　　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（３５）

　葬祭殿の中は、歴代の、オリザ姫のご先祖を祭って、

それぞれの彫像などが、安置されている。

　先代王が亡くなって、まだ十年足らずなので、

祭殿の中は、あちらこちらに、明るく蝋燭が灯されている。

　彫像の中には、夫婦仲睦まじそうな物もあれば、

ひどく、よそよそし気な物もある。また、亡くなる時期が、

離れてしまい、彫刻の様式に、隔絶感が現れてしまった、

夫婦像もある。その中で、先代王は、一人像で異彩を放っている。

　「オリザ姫の、お祖父様ですね。お祖母様は、

　　生きておられるのですか？」

　「いいえ。お父様が、赤ちゃんの頃に・・・」

　「名所見物に、来たのではないぞ。」

　ケルビンが、急に遮った。

　「この祭殿には、特に変わった所はない。左右の塔を、

　　手分けして調べよう。ジャドゥビスは、右の東塔を。

　　私は、西塔を調べる。・・・オリザ姫・・・」

　ケルビンは、オリザ姫を呼ぼうとしたが、オリザ姫は、

全く躊躇なく、ジャドゥビスに付いて、東塔へ入って行ってしまった。

　西塔の中は中空で、背の高い、冥府の女神像の、

壁面から、乗り出すようなレリーフが、侵入者を睥睨している。

　その、やや異国風の衣の、裾襞の辺りから、微かに黒い

霧のような物が、立ち昇っている。

　　・・・罠か・・・

　ケルビンは、石と思えぬほど、布の質感を表した、

襞の一部に、手を掛けた。

　突然床の一部が、割れて落ち込んだ。

　その地下から、トカゲと人の、合いの子の様な、

奇妙な生き物が、無数に飛び出し、ケルビンに襲い掛かった。

　瞬間、虚を衝かれ、反撃の遅れたケルビンは、

その、人に似た手足と、横一杯に裂けた口とで、力尽くの

攻撃を仕掛けてくる、小さい敵に、纏い付かれ、

不覚にも、大声を上げてしまった。

　もちろん、真っ先に駆けつけたのは、ジャドゥビスだったが、

葬祭殿の警備兵が数名、騒ぎに気付いて、駆けつけてしまった。

　兵士達は、地下から際限なく、湧いて出てくる小妖怪にも、

驚いたが、なにより、ケルビン達の侵入を、重大視し、

呼子を吹き、伝令を走らせ、まず人間の不審者を、捕らえようとした。

　もちろんオリザ姫を、見知っているはずは無い。

　そして、ジャドゥビスは、捕らえられれば、間謀の疑いは免れず、

ケルビンは、ついこの間の、王女誘拐の張本人である。

　逃げるしかない。三人は、小妖怪の現れた、床の穴に飛び込んだ。
　
　人一人が、どうにか通れる狭い通路を、やっと反撃に転じた、

ケルビンの思念電撃と、ジャドゥビスの剣で、妖怪共を蹴散らしながら

進んで行くと、少しずつ、通路が広がっているのが分かる。

　「近い・・・いるぞ！」

　ケルビンの掌から、青白い炎が数十個ほども、一斉に放たれ、

辺りを隈なく照らし出した。が、それほど広範囲には、

必要なかったかも知れぬ。

　ぶよぶよと黒く、そこ等中に、まだら模様のある妖怪が、

かなり広くなったと思われた、通路一杯に、立ち塞がって

いたのである。そして、その半ば透けた腹部には、

三人の王女達が取り込まれ、緑に光る靄を纏いながら、

虚ろな目で、じっと外の人々を見返しているのだった。
　
　　　　　　続く

　本格的に、出ました。\( ^ o ^ )/

　黒くて、透けてて、まだら模様で・・・

　ジブリのダイダラボッチか、カオナシですか・・・

　あの辺をご想像ください。ほぼ、間違いないです。

　それから、トカゲと人の合いの子・・・小妖怪・・・　　　

　イモリ、って書こうとしたんだけど、形状的に、

イモリ、ヤモリ、トカゲ、って、咄嗟に、シルエットで

区別できるのかな？・・・で、とりあえず、トカゲにしました。

　区別できないのは、都会育ちの、私だけかも知れませんが・・・

　　　　　　では、また、次回・・・

　　　　今日も、お読み下さって、ありがとうございました。