ぶるんねん文庫

　卒業決定

　　　　（うれし泣き）

　いやもう、本当に、はらはらさせてくれました。

　我が家の第三子、末娘。勉強が苦手で、男の人が苦手で、

活発な友達が苦手で、初めての場所が苦手で、・・・・・　　

　何とか入った高校なのに、蹴躓いてばっかり。

　テスト、欠席、病気、怪我、疲労、遅刻・・・

　とうとう、卒試の追試までもつれ込み、大学合格も、風前の灯・・・

　それを、やっとクリアして、・・・嗚呼・・・


　　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（３１）

　隠し通路から、洞窟墓地に出て、鉄格子の嵌った空井戸を、

見上げたジャドゥビスは、一日目の夜明けが、迫ってきた事を知った。

　常夜灯の篝火の、向こうの空が、薄青く色づいて来ている。

　もし、二日間で事態が好転せず、三日目の夜明けと共に、

船が、ジャドゥビスを乗せずに出航、帰国すれば、

モーズロードン国王は、異常事態に陥った、この同盟国に、

代理統治、併合宣言を出し兼ねない。

　そうなれば、大国ルテシアに押され気味の、パストリアも

黙っては居ないだろう。クァランドール世界の、半分以上が

戦渦に巻き込まれる事になるのだ。

　だがセヴィリスは、ケルビンの疲労が、激しいのをいい事に、

しきりと、中央に安置された石棺を、調べまわっていた。

　「数字の配置からすると、約三百年前の物だな。

　　『メルタノス王、ペンテウス・デ・フォーン、永遠の安らぎを

　　ここに得し者なり。何ん人もこの眠りを、妨げるべからず。』

　　何だか、えらく念の入った碑文だな。・・・それに大きいし・・・

　　副葬品が多いのかな？姫、何かこの王について、

　　ご存知の事はありませんか？歴史的に何かしたとか・・・」

　オリザ姫も、碑文には、興味を惹かれたようだったが、

ラゥオールフィア建国前の王朝など、知る由もない。

　首を横に振るだけだ。

　ジャドゥビスは、苛々していた。石棺も碑文も、

どうでもよいから、あの妖怪を、早く退治せねばと、

焦りが募る。自分で、時間を限ってしまったのは、

失敗だったと、後悔しても、もう遅い。腹立ち紛れに、

石棺の蓋を、拳で思いっきりぶっ叩いた。

　すると、蓋は、大きさに似合わぬ滑らかさで、

ツルリと落ちかかったのだ。

　全員が慌てた。誰だって、三百年前の棺の中身など、

見たくはない。ところが、予想に反して、隙間から見えた

棺の中は、磨き抜かれ、埃一つ入っていなかった。

　通常人なら、三、四人が余裕で入れるほど、石棺は

壁面を薄くして、くり抜いてあり、蓋も、外面の重厚さの割りに、

内側が、ギリギリまで削られている。もしこれが、一人の

ための物なら、空恐ろしいほどの巨漢だという事になる。

　なのに、空なのだ。

　オリザ姫が、思い出したように言った。

　「今の、王家のお墓は全て、ラゥオール島の北東にある離島、

　　墓陵島にあります。父は、前王朝のお墓のうち、

　　今の王家に関わるものを幾つか、そちらに移したと、

　　言っていました。このお墓も、その時、改葬されたのでは

　　ないでしょうか。」

　「だとしたら、その離島へ行かないと。」

　セヴィリスが言った。が、ジャドゥビスは、昨夜の

妖怪の方が問題だと、反対した。

　少し体力を取り戻したケルビンが、一人全うな意見を吐いた。

　「まず、この洞窟から出よう。そして、離島に渡るなら、

　　アルフィーニに連れて行ってもらうよう、頼まねばならない。」

　全く、その通りであった。

　　　　　　　　　　　続く

　卒業式は、３月１日。何時もながら、きっと寒いだろうな。　　　　

　その上、とんでもない事態が、親の知らない所で、進行してた。

　「答辞」　を読むんだそうな。あの、おとぼけ娘が・・・

　うそだろーーーーーっ

　もちろん、４人のうちの１人って事で・・・で、なんでかって言うと、

　文化祭で、頑張ったからだそうで、そう言われれば、「あ、そ。」っていう感じ。

　まあ、私も頑張らしてもらいましたから、それなら、いいか・・・

　しかし、ちゃんと声が出せるのかな、あの緊張しぃが・・・

　ホント、最後の最後まで、ハラハラどきどきさせてくれます。　　　　

　心臓に悪いわ

　　　　　　今日も、お越し下さって、ありがとうございました。