ぶるんねん文庫

　お花の本体の、下の方（切り端の方）を、カットします。

　できるだけ、大きさ、揃えて下さい。形も。

　ここで、お花の形が決まります。

平面的になるか、立体的に盛り上がるか。

　偉そうに言ってますが、どれだけ切ったら、どれぐらい

立体的になるのか・・・これも目分量です。すみません・・・



　　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（１６）

　シシィは、夜更けた道を急いでいた。

　こんなことなら、もう一つ手前の小さな宿場で、

木賃宿に泊まっておくべきだったのだが、

行きに急ぐ余り、早馬車など使ってしまい、旅費の残りが、

心もとなくなって来て、少し無理をしたのだ。

　本街道が、いくら整備されたと言っても、

夜道の女一人旅は、危険すぎる。シシィは、ほとんど

小走りになっていた。細い枝道の先に、数件分の

明かりが見えたからだ。見るからに怪しげな、わびしい、

窓の無い家・・・絶対に、関わり合いたくない商売を、

しているに決まってる・・・シシィは、明かりが近づくと、

猛ダッシュで駆け抜けようとした。そのとき、

　「こら待てぇ！！」

　ドスのきいた怒号と共に、ばんっと扉が開かれ、

数人の男共が、シシィ目がけて突進してきた。

　シシィは凍りつき、立ち竦んだ。先頭の男が、

シシィの両肩に手をかける。

　「きゃーーーーーっ！！！」

　自分の、どこから出た悲鳴か、分からないほどの

大声だったが、一瞬男達も動きを止めた。

　おかげで、シシィには、やっと状況が把握できた。

　先頭の男は、シシィを盾に、その背に隠れようとしたのだ。

　だが、生憎シシィは小柄で、盾には不向きだ。

　後の連中は、この男を追って来たもので、目当ては、

シシィではなかった。そうと分かると、シシィの中に、

恐怖の裏返った力が、湧き上がって来た。

　「ちょっと、なんやの！ウチ関係あらへんやん！

　　巻き込まんとってぇな。あんたも、手ぇ放して！」

　「あ、すまぬ・・・」

　追われていた男は、おどおどと、シシィの肩を放した。

　が、依然その後ろから、出ようとしない。それどころか、

小声で、「助けてくれ、頼む」と言うのが、聞こえてくる。

　シシィは、振り返って男を見た。地味な黒装束だが、

存分に金をかけた感じが、見え見えだ。恐らく連中も、

脅せば、ぼったくれると考えて、引っ張り込んだのだろうが、

これほどの大金持ちになれば、自分で財布を持つわけが無い。

　小金もちしか知らぬから、そういう間違いをするのだろう。

　「あんたら、このおっさんが、一人なわけあらへんの、

　　わからんのん？そのうち、御付きの人等が、わんさかと

　　追いついてきたら、みぃんな、無礼討ちやでぇ。」

　案の定、男達が怯んだ。店主らしい、やや小ましな格好の男が、

ゆっくり近づき、作り笑いを浮かべて言った。

　「別に、是非ともお泊り頂かなくとも、一向に構いませんよ。

　　ただ、一旦お入りになったからには、御入場料を

　　頂きませんと・・・三百シーグルほど・・・」

　シシィは、後ろの男にそぉっと尋ねた。

　「あんた、お金もってへんの？」

　「持っている。が、取り出し難い仕舞い方をしてあるので・・・」

　それならよし、とシシィは腹を括った。

　「ほな、ウチ、立て替たるわ。御付きの人が来たら、

　　利息つけて返してや。せやけど、三百も出したら、

　　ウチ、晩御飯食べられへん。この人、入っただけなんやろ？

　　荷物も下ろしてへんやん。そやったら、百五十でええやろ。

　　ほら！」

　そう言うと、素早く財布から取り出したお金を、店主に押し付け、

ぼーっとしている、後ろの男の袖を引っ掴んで、シシィは駆け出した。

　正真正銘、こんなところに長居は無用であった。

　　　　　　　続く

　ここはどこ？　この人誰？　いつの話？　っていう感じですよね。

　このベタベタの関西弁の彼女
　
　それに、この、ぼーっとしたおっさん、誰なんでしょ

　一つだけ、ばらして置きます。シシィが女性４人目です。

　おっさん？それは、次回以降に・・・　

　今日も、お読み下さって、ありがとうございました。