ぶるんねん文庫

　タイトルと違う方から、始めます。すみません。

　　　　　　　　

　　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（１５）　　　　　

　「その言葉、そっくり返そう。法術家の悪い癖だ。

　　星だの、数値だの、角度だの、いじってる内に時が移る。

　　迅速に動かねば、怪異に先を越される。

　　姫の両親、国民、ひいては世界中の命運が

　　かかっている時に、お前達は、のん気過ぎるのだ。」　

　「だからとて、どんな無茶でも許されるのか？

　　ならぬ事をするから、別の運命が動き出すのだ。

　　第一、そなた深窓の姫君を守りつつ、どう怪異に

　　立ち向かうつもりだった？この姫には、自身を守る

　　力はないぞ。姫を盾に戦おうとてか？」

　ケルビンは、言葉に詰まったようだった。

　「そなたが、全く一人なら、勝手にすればよい。

　　だが、一国の王女を、端から巻き込むつもりならば、

　　目的を果たして後、戻る事まで、計画しておかねば

　　なるまい。そのために我らは、星を読むのだ。

　　今宵集いし星々は、強力に引き合い、出会った瞬間から、

　　互いを高め合おうとしておる。星は、地上に影を映し、

　　人に宿り、運命を動かす。人は、最早や出会った。

　　されば、共に進むべきであろう。手を取り合わぬか、

　　森の国の公子と闇の魔人と、そしてそこなる我が弟子、
　
　　セヴィリス・セレンホルトとで。」

　えっという顔で、セヴィリスの方を見なかったのは、

　ダルトンだけだった。ケルビンでさえ驚いていた。

　「それから、女騎士殿。ご同行いただけぬか？

　　オリザ姫を女性一人で、男共と一緒にはさせられぬ。

　　それに姫の能力は、怪異を押さえられても、

　　自身を守れぬ。護衛がいるのだ。」

　ドリスは、迷ってジャドゥビスを見た。王から公子付きを

命じられたのだから、今の主の命令が必要だった。

　ジャドゥビスはオリザ姫の、不安に見開かれた瞳に気づいた。

　「ドリス、オリザ姫を護衛しなさい。私には、カインとティムが

　　付いてるから。」


　時刻は、真夜中を、相当に過ぎていた。さすがの満月も、

西の地平に近づき、白銀の光も赤く翳りつつあった。

　話の詰めを明日に持ち越し、疲れた人々が、

眠りに付いた頃、ダルトンの居間には、まだ明かりが

揺れていた。セヴィリスが、星辰盤を覗き込んでいる。

　「動いたか？」

　ダルトンが入って来た。

　「はい、星が三つ合流しました。」

　「三つ・・・合計九つ。計算は合うが・・・場所は？」

　「ルナンシアのはずれ・・・」

　「少し遠いな。間に合わぬかも知れん。」

　「今回は、無理でしょう。次には、なんとか。」

　「やはり、一度では、済まぬか。」

　「この件の根は、案外深くて・・・」

　師匠と弟子の分かり難い会話は、さらに月が

堕ちかかるまで、ぼそぼそと続いたのだった。

　　　　　　　　続く


土台を作ります。

ボール紙を丸く切って、それより大きい布で包みます。

接着剤を使います。ここは、縫うより貼った方が、いいです。

土台の直径は、この場合３cm。大体です。目分量です。

　　　　　　　　　

　やっと、序盤の前半、終わりました。つまり、本編、まだ始まってません。

　カタカナの名前、分かり難いとのご指摘を頂きました。

　もうちょっと進んだら、お名前表を作って、載せようかな。

　いまから、漢字にもできないし・・・大体、漢字の日本人名にしたって、

私が書くと多分、相当分かり難くなります。

　桂瀬　由起也とか、津久見　龍介とか、画数の多いネーミングやってました。

　豊浦　瑠璃とか、安綱　実織とか、独特の読みだったし・・・　　

　だから、勘弁してください。正解は、とゆら　るり、あづな　みおりです。

　さあは、こんなひねくれ者ですけど、どうか、我慢して、お付き合いください。
　
　名前以外は、分かりやすくしたいと、思ってます。

　　　　今日も、お越し下さって、ありがとうございました