ぶるんねん文庫

その二もなにも・・・細長く、ふたつに折って、しっかりおこて（鏝）をあてます。

もちろん、アイロンの事です。

和裁を習ってるので、（キッチンハウス先生のところで！）

細かいところは、私は、おこてを使います。

印つけもできるので、便利です。


　　　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（１１）

　突然、喉もとを、狙い澄ましたかのような方向から、放たれた矢に、

驚いたアルフィーニは、ガゥッと一声吼えて、墜落してゆく。

必死に、体勢を立て直させようと、ケルビンは手綱を操るが、

一たび恐怖に戦いたものを、容易には、押さえられない。

　ついに、アルフィーニは、身をくねらせて、正体を現してしまった。

　その、正体とは・・・・・

　・・・・・全身を、黄金色の硬い鱗に覆われ、

赤い目を煌めかせた、巨大な一頭のドラゴンだった。

　ドラゴンは、月光の満ちた夜空を、ほうき星のように

金のたてがみをなびかせて、落ちて行った。


　矢を放ったのは、ジャドゥビスだった。

　低空に降りてきたアルフィーニの、頭部すれすれを、

強力なボウガンで撃ったのだ。しかし、錯乱したドラゴンの背に、

人の姿を認めると、慌てて落下地点へと馬を走らせた。

ドリスが負けじと、後を追う。

　ドラゴンは、潅木生い茂る藪に着地した。

地面に降り立っても、しばらく興奮冷めやらず、暴れるドラゴンを、

なだめようと、ケルビンが、オリザ姫を地面に下ろした時だった。

　「その姫から離れろ！」

　激しい怒気を含んだ、鋭い声が響いた。ジャドゥビスとドリスが、

丈長い草むらを掻き分けて、駆けつけたのだ。

　ジャドゥビスは、ボウガンの狙いを、ケルビンに定めたまま、

地面に下ろされた姫に近づいた。

　長い金髪に縁取られた、穏やかな寝顔。その憂いを帯びた

長い睫毛の目元と、珊瑚色の唇に、つい先日の記憶がよみがえる。

　ノビリアの王宮で見せられた、ラゥオールフィア王家の肖像画。

　国王夫妻の間に立ち、真紅のドレスをまとい、大きな緑色の瞳で

物言いたげに絵の中から、ジャドゥビスを見ていた、世継ぎの姫。

　「オリザ姫？」

　ジャドゥビスは、驚いてオリザ姫を抱き上げ揺さぶった。

　それを止めようとケルビンが、動きかけると、

ぎらっと、ドリスが剣の切っ先を突きつける。

　「姫！オリザ姫！！」

　強く揺さぶられて、オリザ姫は、うっすらと目を開けたが、

そのまぶたの下で、眼球がぐるりと白く裏返り、

再びがくっと、首をのけぞらせてしまった。

　「きさま、姫に何をした！」

　ジャドゥビスは、オリザ姫をそっと草の上におろすと、

ドリスを押しのけ、ケルビンに詰め寄った。ドリスが剣をかざして、

割って入ろうとする。ジャドゥビスはそれを止めた。

　「ドリスは姫を守れ！厳命する。そばを離れるな！」

　ドリスは、あからさまに舌打ちしたが、オリザ姫の近くまで下がった。

　ケルビンは、困り果てた表情で、立ち尽くし、むしろドラゴンが、

ドリスに対して、敵意に燃える目を、光らせている。そのとき、

　「その争い、暫しおかれよ！」

　鋭い声と共に、矍鑠とした老人が、若者をひとり伴い、

長い杖で茂みをなぎ払いつつ、歩み寄ってきた。

　　　　　　　続く
　
　予告どおり、４人目、出ました。出ただけで、まだなにも

してませんが・・・「若者」の方です。

　しかし、このペースじゃ、一回の長さは兎も角、最終回まで、

何年かかるか・・・２，３年は、覚悟しとかないといけないかも・・・

　どうしよう・・・１年くらい、と思ったんですけど、

そんな長いもの、読んで頂けるんでしょうか？

　読んでもらえなくても、書くんだって思って、始めたけど、

やっぱり、だれかに、読んで欲しいです。

　だから、読んで下さった方には、いつも感謝してます。

　　　　　　　今日も、本当に　ありがとうございました。