ぶるんねん文庫

昔の作品　：　梅袋です。　　


私はひねくれ者ですので、作り方の本を買っても、

書いてある通りに、作ることが、あまりありません。

そして、失敗します。反省して、書いてある通りにしたら、

大抵、書いてある通りの物ができあがります。

うれしいですが、退屈なんです。ただ、古代布は、貴重なので、

無謀なことに使えません。結果がこれです。\（－。－）／～





　　　　　　　　　　　碧氷窟の双生児　　　　　（２０）

　
　
　うわさという情報は、いつも、人より先に届く。

不凍の大湖で、大きい船が沈み、

荷を引き上げて、盗んだ者たちが、

即日、縛り首になったことを、村人たちは、

どうしてか、とっくに知っていた。

　そこへ、町から三人が帰ってきたのだ。

人々は、話を聞こうと三人をとりまいた。

　ダクリー婆さんは、昨夜のうちに、処刑のことを知り、

子供たちに見せまいと、早朝、逃げるように、

町を出たのだ。だから、集まってきた、村人にも、

ちゃんと、言い訳を用意していて、

さっさと通り抜けてしまうつもりだった。

　「あたしゃ、忙しいんだよ。一泊余分にかかっちまったから、

　　いそいで、牛や鶏に餌をやらなきゃ。

　　子供らも初旅で疲れてるんだ。早く寝かしてやらなきゃ、

　　疳の虫が起きそうなんだ。」

　とりつくしまない婆さんに、さすがの村人も、

恐れをなしたが、ジルとサフィールは、とっくに、

人垣に取り込まれ、質問攻めにあっていた。

　「縛り首、どんなだった？」

　「盗人どもめ、何か言ってたか？」

　「ぶらさがったら、どんな顔になってた？」

　コラーッ！という大声に、ふたりを取り巻いていた、

村人たちは、ざぁっと、後ずさった。

　「この子らに、見せていいしろもんかどうか、

　　あたしに、判断できないってのかい？

　　さっさと、そこを通さないと、冬の風邪薬を

　　うんと苦くしてやるよ！」

　婆さんは、二人の手を荒々しく引っ掴むと、

急いで村を通り抜けて、隠れ里のほうへ帰って行った。

　ふたりは、黙ってついて行った。

口にこそ出さなかったが、胸のうちでは、初めて耳にした、

＜死刑＞や＜縛り首＞という言葉が、荒れ狂っていた。

　　　　　　　　　　　　　　　続く


　とうとう、２０回超えちゃいました。そろそろ、後半にはいりますが・・・

ノートの方は、一応終わってるのですが、もう少し、サフィールが、

何か突飛な事やらないかなって、試行錯誤中・・・

　現実に、こんな子供がいたら、厄介です。（うちにいる）

　ご機嫌見ぃ見ぃ、一日中、時計と顔色見比べて・・・

　どうなのでしょうね、時刻はわかるのに、時間がわからないっていうのは・・・

　では、次回２１回、おたのしみに。今日もお読みくださって、

　　　　　　　　　　ありがとうございました。