2010年10月25日

ファンタジー  続き

ファンタジー  続き
にせつまみ細工の髪飾り

本物のつまみ細工はものすごい値段ですもんね

でも、これなら小さい子供さんでも、浴衣の時でも、

惜しげなく使えます。縫ってあるから、丈夫だし。




   真夏の昼の夢   (4)




 それにしても、この美しさはどうだろう。

私は、ゆっくり歩き始めた。

ラヴェンダー色の空の下に真白い草の海。

起伏の中に見え隠れする、黒く光る石の廃墟。

上空のガス惑星の虹色の帯模様。

 周りの景色に見とれて、私は、小さな水の流れに、

気づかずに踏み込んでいた。

 こんな、異世界の星でも、水というものは冷たくすんでいる。

それも驚きだった。私は、流れをのぞきこんだ。

 水の底を、泥の塊が、ぶつかりながら、流れていく。

欠け、砕け、また融合して大きくなったり、

角張って、刺々しくなったり、丸く削れ過ぎたものは、

溶けて形を失ったり。

それはまるで、あの町の人々のようだった。

 私は、こんな泥人形たちと暮らしていたんだ。

だからいつも、息苦しかったんだ。

わたしは、人々に馴染めぬ苦しさを、解消するため、

さらに深く人々と関わろうとし、

そのあまりの救いの無さに、絶望していた。

 ならば、この異世界で、このままずっと、ひとりでいよう。

 そう思った時、一筋の光が空をよぎった。

ガス惑星が巨大な月のうしろに隠れ、

青白い恒星が、さらにその後ろから現れた。

遥か遠くの地平から、白い花の海が、

見る見る灰褐色に変わってゆく。

この星の太陽は、地球の太陽のように、恵みをもたらさず、

その強い光線で、地表を焼き焦がすらしい。

白い花々は、焼かれては、また、日食の折に芽吹いて咲く、

そんな植物なのだろう。

 焼失帯がせまる。

 私は、その場にとどまろうとした。

しかし、思いもかけない急激な死の恐怖に、

からだは反射的に、水に飛び込んでいた。

水中でなら、あの死の光線を少しでも防げる、

そんな考えが、あったかどうかさえ、自覚しなかった。

 深くもぐり、息が詰まりかけたとき、

泥塊からにゅっと腕が突き出され、

避けるまもなく、私を捕らえた。


 「ちょっと!まだ下に人がいるじゃない!! 水止めて!」

視察が終わって、残りの人たちで、

掃除を再開したらしい。

 私は、壁面を洗うために噴射した水を、

頭から浴びていた。これで二度目だ。

「あんたも律儀な人だね。当番の人と一緒に帰ったって

 よかったのに、まだがんばってたの。」

あはは、という笑い声と同時に、

ふわりと、タオルが投げかけられた。

 真夏の昼間の強い日差しが、

地下道の暗がりに、慣れた目に痛い。

 泥人形たちの世界は、意外な明るさに満ち溢れていた。

                         終わり


無茶苦茶長くて、ごめんなさい

クライマックスで切れなかったんです。kao_18

最後まで読んでくださった方が、本当にいらしたら、

感謝感激いたします。本当にありがとうございました。face05

つぎは短くしますね。乞うご期待!icon22tenki_2








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Posted by さあちゃん at 23:38│Comments(0)ファンタジー
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