ぶるんねん文庫

季節はずれでごめんなさい　　かえる袋とあじさい袋

予告どおりファンタジーを書きます。
地球ではない、どこかの惑星に住む、
未知の生物たちの、ラヴストーリーです。

　　

想い草と飛び花　




　薄青紫の大気を切り裂いて、ひれ鳥が飛ぶ。

餌を求めて漂っていた飛び花たちが、一斉に親株目指して逃げもどる。

だが、数体はひれ鳥に捕食され、生態系の輪の中に消えて行く。

思考器官を持つ想い草たちは、心あるが故に、無残さに身を竦ませる。

　その中に、ほっとしている者がいる。

　――　ルーニーじゃなかった。ルーニーは無事だ。　――

想い草のノーグは、飛び花の中でも、特に真紅の一体をルーニーと名づけて

夢中になっている。異種の個体に想いを寄せるノーグを、

仲間たちはからかって止まない。

　ルーニーの親株は、ノーグのすぐそばにある。

金緑色の夜明けとともにルーニーは、莢（さや）を開いて空へ飛び立つ。

そして、ノーグたちの天敵の瘤虫を捕ってくれる。

飛び花たちが餌を捕る間想い草は、ひれ鳥を追っ払ってやる。

共存の関係だが、ノーグは、ルーニーに瘤虫を捕ってもらいたいし、

ルーニーだけを守りたいのだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　続く



洋裁もします　

N高校文化祭用