2017年07月01日

原風景


原風景

 iconN05どこiconN05・・・ですよね。

 愛知県名古屋市鳴子団地

 です。

 さあの、記憶の、一番古い所にある、最初の風景。

 ・・・の割に、最近の写真じゃないのiconN05

 さあちゃん、自分の事、ババアだって、言ってるのに、

 原風景が、こんなに新しい画像なんて、変・・・

 そうなんです。

 さあは、準転勤族の娘だから、

 (もっと凄まじい転勤族に比べたら、大したことないかも・・・)

 グーグル・ストリートヴューで、昔に住んだ町や、通った学校を見ても、

 まあ、大抵、記憶の風景の面影なんかない。

 無理もない。半世紀は、長い。

 一番最近の面影のありそうな、神戸の街並みでさえ、

 (35年前、学生時代)

 阪神淡路大震災のおかげで、いまいち、違和感。

 学校も建て替えられ、校舎の配置も変わってるし、

 大体、現在の実家の周辺ですら、最寄駅から徒歩で行ける筈が、

 ・・・道が分からない・・・

 かなり急な上り坂だから、別に歩きたくはないけど、

 若かりし頃は、終バスに乗り損ねて、幾度、歩いたか知れない。

 ・・・のに、地図を見ても、自分が歩いたはずの道が、

 分からない。

 バスに乗ると、馬鹿でっかい陸橋を、どーーーっ、と登って、

 あっという間に、実家のすぐ近くに到着。この陸橋が出来たおかげで、

 地形自体が、変わっちゃったんだ。

 kao_12有り得ますiconN06自分の実家に、帰れなくなっちゃうなんて言う事態iconN04iconN04

 だから、さあは、よもや、半世紀以上前に建てられた団地が、

 今現在、現役で、まだ住んでる人がいるなんて、

 考えても見なかった。

 だって、5階建て鉄筋コンクリート、エレベーターなしよiconN05kao_16iconN05

 今なら、絶対考えられない建物な訳。

 現に、もう、30年位前に、取り壊しが始まってる、って、聞いてたし。

 その時、嗚呼さあちゃん、とうとう本格的根無し草になったな、って、

 彦根って割と田舎だから、さあの言葉が、純粋に関西弁じゃないと気づいた人は、

 「ご出身はiconN05」って聞く訳よ。

 ほんっと、答えにくい質問。

 出生地は、名古屋よ。でも、名古屋の記憶なんて、

 殆ど無い。あるのは、鳴子団地の記憶だけ。

 名古屋城も、熱田神宮も、名古屋タワーも、覚えてない。

 セントレアは知ってるよ。北海道(長男の所)へ行くとき使うから。

 まあ、50年前には、なかったけどね。

 で、鳴子団地、って言ったって、彦根の人が知る由もなく。

 出生地と実家が、全然方角違いの変な人、って事になる。

 でも、この情報社会。せめて、鳴子団地自体が現存していてくれれば、

 「団地世代第一号」・・・みたいな、そう言う育ちなんだ、って、

 分かって貰えるという、期待も持てたんだけど、

 取り壊されつつある、って聞いて、その時、後1年か2年で、

 無くなっちゃうんだろう、って予測して、がっかりしてた訳。

 それが・・・さあ・・・この間、地図検索したら、

 iconN04あるじゃんiconN04

 鳴子団地

 で、ストリートヴュー見たら・・・

 さあちゃんの記憶の原風景が、出た。

 坂道と、白っぽい団地。公園と並木。

 そう、坂道。

 もっと急だと思ってた。子供心に。

 緩い坂道と、ひし形の石垣の上の5階建ての建物。

 大通りから、ちょっと回り込んで団地の敷地に入る、

 そんな記憶が、さあちゃんの中にある。

 その風景が、出てきた。

 実は、さあが、鳴子団地に住んでいたのは、

 満1歳から、3歳2カ月まで。

 人の記憶って、3歳ごろから始まる。だから、ぎりぎりの年齢。

 ・・・の筈なんだけど。さあちゃんの記憶は、3歳以前に始まってる。

 さあちゃん9月生まれ。だから、3歳の11月に、鳴子団地を出てる。

 父親の転勤で。

 名古屋から大阪に引っ越して、それっきり、名古屋には行ってない。

 なのに、時は春爛漫。坂道の上り詰めた所に、

 スーパーマーケット、なるものがオープンして、

 その開店祝いで、店の前には綿菓子やが出たり、

 子どもに風船を配ったり、紺の制服を着た女性店員が、

 にこやかに店を案内したりした、と言う記憶がある。

 これを、父の生前に確認したら、なんと、すべて事実。

 「覚えてる訳ない。2歳半じゃないか。」

 しかし、カメラが趣味だった父も、

 さすがに、スーパーマーケットの写真なんか、撮る訳もなく、

 古いアルバムのどこにも、紺の制服のお姉さんも、綿菓子の屋台も、

 写真としては残っていなかった。

 原風景の団地の景色だけなら、写真がある。

 だけど、真夏の(2歳10か月)、稲光が窓に、描いたように映って、

 恐ろしかった事や、夏休みの小学生が、粘土細工の作品を、

 幼稚園もまだ行ってないチビ達に、見せて自慢してた事は、

 両親の記憶に、薄っすら残ってこそいても、わざわざ、

 そんな物を写真に残すはずはなく、

 思い出話と言うほどの、エピソードでもなく、

 茶飲み話には、大してインパクトもなく、

 繰り返し本人に語る事など、無かったはずだから、

 純粋に、私の記憶なのだと言う自信がある。

 そして、その記憶の一部と重なる風景が、現存するのを見た時、

 さあのなかで、何かが崩れた・・・

 いや、逆だ。何かが立ち上がった、気がした。

 鳴子団地は、故郷ではない。知り人の一人もいない、

 いわば、行きずりの土地だ。ただ、これは、物心がつくかどうかの、

 ギリギリの幼い心に、刻み込まれ、鮮やかに幾度となく、蘇る

 懐かしい風景。

 きっと、いずれは確実に失われて行く、保存されるはずもない、

 高度経済成長の、落し物のような存在。それでも、

 こんな味気も素っ気もない、金庫の連なりの様なコンクリの箱が、

 私の心の奥底で、拠り所となっていたのだと、

 齢55歳にして、初めて気づかされた。

 ・・・何を、こんな詰まらない風景を、懐かしがるんだiconN05

  風光明媚でもなく、親類縁者が住んでいる訳でもない、

  ただの団地に過ぎないじゃないかiconN04・・・

 その通り。なんて、つまらない風景だろう。花鳥風月に満ちあふれた、

 豊かな自然に恵まれた日本に生まれ育って、懐かしい風景が、

 5階建ての団地が折り連なる、アスファルトの坂道だなんて・・・

 こんな詰まらない記憶に固執してるから、作家にもなり損なうんだ。

 ・・・でも、他の記憶の風景は、もう、失われて、忍ぶよすがも残ってはいない。

 よりによって、一番古い記憶の風景だけが、現存していたなんて・・・

 ・・・どう受け止めればいいのか分からない。

 おそらく、実際に住んでいた棟ではないだろうし、

 わざわざ、出かけて行きたいとも思わない。

 画像は、最近ではあるけど、数年前の物らしいし、

 順次、取り壊しが、今も少しずつ進んでいるらしいので、

 行ってみたら、がっかりするかも知れないので。

 ただ、私の中で、人として欠けていた部分のどこかが、

 少しばかり、かちり、と、音を立てて、欠片を嵌め込まれ、

 ザクザクに傷まみれだった所に、少々、滑らかな部分を得たような、

 そんな気がするのだ。

 故郷を、確固と持つ人には、きっと、理解できないだろう。

 根無し草の根の先が、諦めていた土に、生まれて初めて、触れた、

 そう言う感覚が、あったのだ。



 



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Posted by さあちゃん at 03:25│Comments(2)メルヘン
この記事へのコメント
こんにちは^^

昔住んでいた場所が残っているのは凄いですね。
私も嫁さんの実家が凄く田舎の方なのにストリートビューで写せるのでびっくりしました。(本当にどうやってとっているのだろう(笑)

コメントの確認を怠っていたので気づくのが遅れてすいません。
足先の痺れですが腰椎の場合もございますが、指先のみに痺れがある場合外反母趾の変形が神経に触れている可能性もございます。

あとは病理的な問題の可能性もありますので病院の検査で異常なしならばカラダの問題だと思いますよ。
Posted by ライフスタイル 脇ライフスタイル 脇 at 2017年07月06日 14:37
Dear 脇先生
 すみません。コメントでお聞きする事じゃないと思いつつ、つい・・・
力は入るし、動かせるし、書き込んでから気づいたんですが、
人差し指(足の場合は第二趾?)に近い側3分の1ほどは、痺れてないんです。
痛くもないし、生活に支障なく、ただ、スリッパを履こうとして、足先が、
スリッパに入りかかってるのに、全然感覚がなく、あんまり良くないのでは?
と思った訳なんです。
LSCへお伺いしたい所なんですが、土曜日が必ずお休みじゃなく、
なかなか行けなくてすみません。またそのうちに必ず伺いますので、お願いします。
 ストリートビュー・・・でも、本当に見たい角度からは、なかなか撮ってないんですよ(笑)
もうちょっと、2メートルくらい北から撮ってよ・・・って、画像に文句言ってます(笑・笑)
Posted by さあちゃんさあちゃん at 2017年07月07日 21:40
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