2017年05月03日

合掌

合掌


 なんで、観音様iconN05

 理由があります。多分、信じて貰えないような理由が。

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 思春期の頃から、超常現象大好き娘だったさあは、

 色々とアブナイ雑誌を読んだり、占いに耽溺したりして、

 理系人間の父には、「変な子」と思われていたようで。

 そんな父が、息子の余りの出来の悪さに、

 ついに神頼みをするようになって、この世に人智を超えたモノが

 あるのだ、と言う新興宗教の話に耳を傾けるようになりました。

 その教義によると、この世の中には、数多の成仏できない霊が、

 うようよと漂っている、・・・ん、だ、そうで・・・

 それらは、救いの手を求めて、助けてくれそうな「光」を求めて、

 「光」のありそうな所へ、憑りついて行くそうで、この世の障りは、

 それらの、不成仏霊が起こすのだ・・・と言う・・・

   信じられない人は、信じなくていいと思うんです。

   さあだって、実際にハッキリ見聞きできる訳じゃないし。

 ・・・ところが、家族全員入信が基本の新興宗教なのに、

 さあ一人は、数から外されました。

 お嫁に行くとき、障りになるといけないと言う理由で。

 したがって、さあは、この宗教の教義についてはよく知らず、

 お守りも、持たされませんでした。

 とにかく、さあの家族は、自分のオーラを不成仏霊に分け与える、

 とか言う、「おまじない」を行うようになったので、

 ホントかどうかは別として、さあは、さあの親のオーラを求める、

 不成仏霊に、頻々と憑りつかれるようになっちゃった・・・で、

 ある時、駅の雑踏で気分が悪くなり、バイトを休んで帰宅すると、

 なぜか、一緒に出勤した父が帰宅してました。

 急遽出張が決まり、準備に戻った、と言うけど、家族全員は、

 父が戻るのを知ったタチの悪い霊が、救いを求めて、

 さあの背中に乗っかった、って、言うんです。

 父はさっそく呪文を唱えて、おまじないを行いましたが、

 さあは、その間、金縛りにあい、奇妙な幻を見ました。

 さあは、幽体離脱して、自分の背中を見ているんです。

 正確に言うと、さあの背中に「光」を送っている父の、

 さらに後ろにいたんです。物理的には、スペースない所なんですが。

 夢なのでしょうけど、その時、さあは、さあの体の背に、

 必死にしがみ付いてる、ぼさぼさ髪の骸骨を見たんです。

 どくろしゃれこうべに髪が生えて、眼球だけが嵌ってる・・・

 その目が、ぎょろりと父の後ろのさあを振り返った、kao_12

 その恐ろしいありさま・・・iconN04iconN04と、その時、

 ふわりと、さあの体の周りに、五色の雲がたなびき出し、

 その中に、等身大よりは一回り大きい観音様が現れ、

 その骸骨をなだめて、さあの背から引き離してくれたんです。

 そして、骸骨をその雲に包んで、天女達に命じて、

 天井近くの「光」の塊の方に、運ばせたんです。

 face08ホントですってばiconN04iconN04

 さあは、立ち去りそうな観音様に呼びかけ、

 「観音様に見えるけど、狐狸悪霊の類ではiconN05」と
 
 問いかけました。その答えが・・・

 「私の父の守護霊」である、と。・・・さあの、じゃなく、父のiconN04

 観音の姿なのは、持っている知識の中では、一番近いイメージで、

 形として見ようとするから、との事でした。

 では、さあの守護霊はiconN05と問うと、

 ・・・さあの修行の準備をしている、って・・・意味不明・・・

 で、この度、33年ぶりに、さあは、観音様に会いました。

 亡くなった父の枕もとで。


 前回、少し書きましたが、父が亡くなりました。

 3月15日。82歳でした。

 前日遅く、「駄目かもしれないから、準備して来てくれ」と、

 弟から電話があり、葬式の準備をして彦根を出ました。

 15日早朝、病院に着き、様子を見ると、父は穏やかな様子で、

 酸素吸入と栄養剤と強心剤の点滴だけで、横たわっていました。

 私には、それまでまだ、まるねこ娘を見舞わせてないと言う、

 最大の心残りがありました。母が頑なに、まるねこの学業を言い立てて、

 見舞いを拒否し続け、まるねこも卒展を理由に腰を上げず・・・

 しかし今回ばかりは、まるねこは否応言わず、同行したので、

 どうにか息のある内に、まるねこを会わせる事が出来たのです。

 父の娘、娘の母として、とりあえず心残りだけは払拭でき、

 父は、1時間に1回くらい、急に心拍が下がると言う、危機を繰り返していました。

 しかし、昼過ぎになると、それが起こらなくなり、目つきも少し力強くなり、

 まるねこ娘の呼びかけに、口を動かし、応えているように見えました。

 「今日の所、これ以上の変化はないのだろう。」

 誰もがそう思い、母も足腰を少し休めたいと、家に帰りたがったので、

 弟を残し、オヤジの車で全員が実家に帰り、居間に入ろうとした途端、

 さあの携帯が鳴りました。

 「アカンiconN04戻ってくれiconN04今、心臓止まったiconN04iconN04

 弟でした。よりによって、誰もいなくなった所を見計らって、

 父の心臓は、ピタリと停止してしまったのです。

 皆は、脱ぎ掛けたジャケットに、袖を通し切る間もなく、

 玄関を飛び出しました。母は、そんな際なのに狼狽えて、

 まるねこ娘を呼び止め、「これ、おばあちゃんから、お小遣い・・・」

 などと、口走っており、「そんなん、今いいから、早うジャンパー着てiconN04」と、

 まるねこに着せられ、背を押され、手を引かれ、の状態です。

 父は、私達が部屋を出た後、強心剤が利かなくなり、

 無理な延命をしないと言う、かねての申し合わせの通り、

 病院側としては、そこで蘇生措置を停止、皆が駆け付けると、

 すでに、酸素も点滴も外されていました。

 ただ、弟は諦めきれず、必死に父の胸を叩いて、

 鼓動を呼び戻そうとしていました。が、私は、それを止めました。

 「アカン、肋骨が折れる。最後に痛い思いさせたらアカンiconN04

 父の心拍計は、弟の拳の動きを写しているだけだったからです。

 弟もそれに気づき、父の体を私に預けると、矢庭に病室を飛び出し、

 やっと母やまるねこ娘が、傍に駆け寄るのを押しのけ、

 「お父さん、コーヒー、飲みたがってたコーヒーiconN04

 そう叫んで、口内洗浄用のスポンジに缶コーヒーを染ませて、

 父の口に入れてやったのです。

 「死に水を取る」と言う言葉はありますが、父の場合は、

 「死にコーヒー」でした。

 胃を悪くして入院したので、殆ど絶食絶飲状態だった父の、

 最後の食物が、コーヒーだった訳です。

 その後も、数分に1回、痙攣の様な心拍が記録されましたが、

 父の体に血色がよみがえる事は、もうありませんでした。

 臨終は16時18分。

 しかし私は、先刻、実家に入った時、奇妙な気配を感じて、

 数回、後ろを振り返った事を、思い出していました。

 仏間が気になって、気になって、仕方がなかったのです。

 仏間の前を通って、居間に入るので、一度素通りしたら、

 一緒に帰った4人を搔き分けて、戻らねばならず、

 気になりつつ、居間に入りかかって、電話を受けたのです。

 ・・・父の魂は、もしかしたら、皆と一緒に、家に帰って来たのでは?・・・

 そして、入院が長引いた留守を、御先祖に詫びようと仏間に入り、

 そのまま、お迎えに来た、あの世のお使いに行き会って、

 逝ってしまったのではないだろうか・・・そんな気がして、

 仕方がなかったのです。

 その晩、葬儀屋さんがあれこれ話して帰った後、

 一人、父の番をしている時、何か急に暖かな感情が、

 心に湧き上がって来ました。私は、静かに心を澄まして、

 言葉として、それを受け止めようと試みました。

 以前にも何度か、自分の「外側」からの心の流れを

 受け止めた事があったのです。

 それによると、父は徳の高い魂なので、相応の導き手がついている、

 が、少し慌てて逝ってしまったので、今、正しい道へ導いているから、

 心配しないように、との事でした。

 そして父が美しい観音様の後を、静かに歩むイメージが、

 心の中に、湧いて見えてきたのです。

 旅行好きで、新しい物好きだった父の事だから、

 この世に留まれる間は、あちこち見聞して回るのだそうで、

 なぜか、モンゴルの大草原を旅している父の姿が見えて、

 ・・・ヨーロッパとアメリカは行ったけど、モンゴルなぁ・・・

 アジアに興味があったかどうか、聞いた事はなかったけど、

 TVのシルクロードのシリーズなども、見ていたから、

 行って見たかったのかも知れません。


 私にとっては、囲碁の番組などを、しかめっ面で見ていた父しか、

 印象になかったから、旅好きな一面を弟から聞いて、

 そんなイメージを、作り上げたのかも知れないけど、
 
 「千の風になって」ではないけど、本当に、

 父は、お墓になんか入らずに、戒名に付けられた通り、

 雲に乗って飄々と、空の果てまで旅をしているのだと、

 そんな印象しか、今の私には持てないのです。

  満中陰の法要も終わり、四十九日も終わりました。

  もうすぐ納骨です。でも、父は、きっと、今度は、

  南太平洋で筏に乗って、遊んでいるような気がして、

  仕方がないのです。それとも、

  サハラの赤い砂漠を、眺めているのでしょうか?

  もしかすると、エアーズロックの頂上にでも

  立っているのかも知れません?

  守護霊の観音様が、きっと、呆れて

  そんな様子を眺めておられるのだと、

  そんな気が、するのです。



 今日もお越し下さって、ありがとうございました。
 
  また次回。よろしくお願いいたします。
 



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Posted by さあちゃん at 12:44│Comments(0)メルヘン無題
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