ぶるんねん文庫

　・・・と言いながら、これは、本命。

　個展に向けて動き出した、まるねこ

　老人の多い地域のスーパーの、ギャラリー。

　娘の心配は、絵だけではない。お客様層。

　半抽象のイラストや、アニメ調の絵を、

　お年寄りが、わざわざ見に来るだろうか。

　「おばさん達は、『布花』の方が、

　　見る気になるよね。」

　わかったよ。親子コラボ展。それもまた良し。

　引退宣言してから、デビュー企画。

　娘のためだ。仕方ない。


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３５５）

　ジルコニアスが、突然、激昂した。

　「予定、セット、プログラム・・・くそっ喰らえだ！！

　　そもそも宇宙船は、惑星着陸の機能を、持ってなかったんだ。

　　エリオルムに墜落した中央連絡機関は、地中深くに埋まり、

　　多数の不具合を生じていた。

　　私達は、覚醒前教育のプログラムを実行される事なく、

　　繁殖地の、最低生活レベルの記憶のみを持って、覚醒した。

　　何も分からぬまま、地上に出た私達は、この世の辛酸を嘗め尽くし、

　　結果、サフィールは消滅した。その後、千年にわたる探索の末、

　　私は、エリオルムの地底に眠る、機能を停止した、通信設備を

　　発見し、それを短期間、回復させる事に成功した。

　　だが、そこで得られた情報は、私を奈落に突き落とした。

　　『創造者は、この空間を、永久に放棄する。』

　　・・・放棄！放棄だ！！私達は、捨て去られた！

　　永久に！！」

　「それで、憎悪の鬼と化した、と？」

　アルダイスが、静かに尋ねた。

　ジルコニアスは、身を折って、怒号を喚き散らした。

　「お前は知らぬ！

　　エリオルムの地底に捨てられた、我々の同胞が、

　　どのような無残な最期を、遂げたか！！

　　目覚めた者は、死に物狂いで、船を維持しようとしながら、

　　目覚めぬ者は、生命維持装置の異常で、命を落とした。

　　全員！全員だ！！地下は、累々たる屍の山だ！

　　許さぬ！創造者の身勝手により、作られ、捨てられた

　　同胞の無念。そして、サフィールと二人、味わった、　

　　この世の地獄の苦しみ！！

　　完全に保護された中で、惰眠をむさぼっていた、お前に、

　　何が分かるものか！！」

　「では、なぜ、ベインダリファ結晶を持ち出した？」

　「私は世界中を放浪し、魔法を習得した。

　　精神世界へ肉体を呼び込む法を用い、宇宙空間をも彷徨った。

　　そして、創造者の足跡を辿り、遭遇した。

　　彼らは、ベインダリファ結晶の在処と、その効力を私に教え、

　　私にそれを取り出させた。

　　その時、八体の青い遺体と、眠るアルダイスを見つけた。

　　アルダイスは、目覚める様子がなかった。

　　創造者は、ベインダリファ電磁波砲を、私に使わせた。

　　そのときは、まだ、私は全てを知ってはいなかった。

　　創造者は、結晶を取り戻したかっただけだった。

　　私を誑かし、仮想戦闘を見せ、慰撫して済まそうとした。

　　私は、結晶を奪い取り、地上で、強電磁波光を発生させる、

　　必要なからくりを、剣に仕掛けた。

　　次にこれが使われる時には、創造者が度肝を抜かれるだろう。

　　だが、結晶が作動しても、創造者は現れぬ。

　　目論見は達成できなかった。

　　創造者は、二度と我々を省みる心算はないのだ。

　　我々は、捨てられたのだ！ゴミのように！！」

　自嘲の哄笑が、ドーム内を満たした。

　アルダイスは、静かな面持ちで、ただ目を細めて、ジルを、

見つめていた。セヴィリスが、静けさを引き継ぐように言った。

　「次に、これが必要となる時こそ、『星辰が満ちた』証だった。

　　黒い霧を殲滅する『時』が、満ちたという・・・」

　引きつったような笑い声を上げながら、言葉を紡いでいたジルが、

ぴたりと、笑いを止めた。
　
　セヴィリスは、慎重な、だが、斟酌ない言葉で言い放った。

　「『創造者』と言うのが、何者か、私には分からない。

　　だが、最高神アルダイスの、更に上にいる者だと言うなら、

　　自分達に良からぬ影響のある生物を、その生存空間ごと、

　　『放棄』したりはしない。

　　直接手を下す事無く、自滅するように、策謀の種を蒔き、

　　後は、じっと観察している事だろう。

　　・・・『サフィールの涙』が力を発揮する時は、人間と黒い霧が、

　　同士討ちとなる時。そして、宇宙の維持に必要なエネルギーが

　　『サフィールの涙』に奪い尽くされ、この宇宙そのものも衰退し、

　　　最終的に消滅する・・・それが、創造者の狙いなのでは？」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　「ベインダリファ結晶」これが、「サフィールの涙」の正体です。

　空間エネルギーを集積して、電磁波に変換して、発振するという、不思議な性質。

　他の９石もそれぞれ、単独か組み合わせで、同じような力を有し、その作用で、

　宝の大剣は、つまり、ライトセーバーかビームサーベルと化す・・・

　・・・スターウォーズも機動戦士ガンダムも、見ましたからねっ

　では、また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。