ぶるんねん文庫

　娘の自画像です。・・・と言いたいけど、

　デフォルメしすぎてない？

　いいけど・・・

　じつは、無断借用。

　“Ayatanomori”から、勝手にコピー。

　ばれたら、怒るだろうな。

　でも、よく描けてると思う。

　究極の親バカだけどね。
　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（２９３）

　二人が降り立った所は、パストリア軍が、一旦集結し、

ルテシア軍と対峙する所まで、移動した後だった。

　敗走するルテシア軍を、深追いせず、パストリア軍が、

帰還して来る可能性があった。

　ダルトンは、長杖を地に挿し、もう片方の手を、天にかざした。

　白く長い髭に縁取られた口元から、呪文が発せられ、

その足元が、柔らかな光で包まれた。

　「王よ、お乗りなされ。」

　ダルトンの、天に向けられていた手が、ソルダムに伸べられた。

　ソルダムは、恐る恐る近付いた。

　光る靄に足を踏み入れると、足下に、地面は感じられなかった。

　二人を包み、靄は、ふわりと宙に浮かび上がった。

　相当な高さを、悠々と飛行して行く。

　「魔法とは、本人一人しか飛べぬと、思っていたが・・・」

　ソルダムは、不思議そうに、下を見下ろした。

　「人に依るの。法術といえど、理論と実践の噛み合わぬ者は、

　　能力も限られる。魔術は、もっと、然りじゃ。」

　「魔術・・・そうだ。ダルトンに確かめたかった。

　　ニグ、いや、ファーゴは、本当に魔術師なのだろうか。」

　「ニグ、の方がよいかの？わしにとっては、ダトゥールじゃが。

　　左様・・・魔力があっても、法術師には、なれる。

　　なってはならぬと言うは、あ奴のような野心家が、

　　その両力を手にした折の、恐れの為じゃ。

　　押さえが利かぬ者が、暴走すると・・・な。」

　ソルダムは、暫く黙りこんだ。

　今度は、ダルトンが話し始めた。

　「王の波動に引かれて、思わぬ所で降りてしまったが、

　　結果は上々じゃ。ファーゴの企みから、王を救えた。」

　「企み？」

　「・・・ルテシア奇襲隊の目前へ、王を出現させ、

　　手柄に逸った連中に、討たせて、対バルツァード戦線を

　　復活させる。バルツァードは勝てぬ・・・であろう？」

　ソルダムは頷いた。厄災に疲弊した上、王を失ったとなれば、

放って置いても、バルツァードは、瓦解する。

　確たる世継ぎはいない。王位継承者は、また従兄弟達だが、

いずれも年老いている。王として国を治める前に、王になる為に

争い出しそうな気配がある。

　ルテシアの威光を持つ母が、母国をも抑え、同時に、王家の、

有象無象に睨みを利かせて、黙らせていたのだ。

　「ルテシア王は、ニグに操られているのだろうか・・・」

　「野心が、同じ方向を、向いているのじゃ。

　　もっとも、ニグの方が、無茶な野心じゃがの。」

　「無茶な野心？」

　眼下に、明るい町の灯が、迫って来た。アルテミシアだ。

　「宇宙の王になろうと言う、野心・・・すまぬな。

　　この術は、長くは使えぬ。今宵は、この町泊まりじゃ。

　　急ぎ、エリオルムへ赴こうとしたのじゃが・・・」

　アルテミシアで、明け方に宿をとり、老いた体を伏せたダルトンが、

翌昼近く目覚めた時、ソルダムの姿は、もう、そこにはなかった。

　「エリオルムにて再会を」と、宿に伝言を残し、まんじりともせず、

早朝に、発ってしまっていたのだった。

　　　　　　　　　　　　　続く

　・・・ダルトンの年齢を、設定してませんでしたが、１４０～１５０歳くらいだと思ってください。

　つまり、ケルビンより年下です。ニノファンの方、ごめんなさい！！

　つまり、魔術師って、それぐらい特殊なんです。・・・って、事で・・・

　　　ではまた次回今日もお越し下さって、ありがとうございました。