ぶるんねん文庫

　　　　　　　

　愚痴愚痴、第三弾

　しょうがないなぁ。勤めてりゃ、色々あるって。

　そんな事は、分かってる。でも、愚痴愚痴。だから、お嫌な方は、見ないで下さい。

　　　　　　　　　

　さあって、子供の頃から、割と、スローモーだったから、「グズ、のろま」って、よくけなされた。

　親にも、けなされた。ただ、今でも疑問なのは、「それでは、遅くなるから、こうしなさい。」

　と言う、アドバイスをされた記憶が、全く無い、って言う事実。

　走るのも遅かった。小中学校の先生は笑った。「歩いてるのか？」って言って。

　速くなる方法を、教わったのは、高校2年。たちまち、100人中10番内に入った。

　どうも、適切な指導者に（上司に）当たり難い、星回りらしい。特に、直属の上司。

　じたばたして、試行錯誤して、山の様に失敗を重ねて、やっと、正しい指導者に当たる、

　そういう星の下に生まれてるんだな、って、齢50にして、思い知る、・・・この頃。

　もしくは、本で読んで、自学自習して、死に物狂いで習得するか。

　でも、死に物狂いになる前に、大抵、何らかの障害が起こって、充分習得できない。

　それは時に、親だったり、配偶者だったり、子供達だったり、経済状況だったり。

　具体的に言うと、読書に夢中になっていると、ピアノの練習をしなければならなくなる。

　ピアノに夢中になると、夜遅くなって、近所迷惑になる時刻が来る。

　作文の宿題に熱中していると、「早く寝なさい！お母さんが書いておくから、

　　明日の朝、写して持って行きなさい！！」と、叱られる。

　結婚後も、ピアノの仕事を得た時期、土日の昼、どんなに一生懸命練習していても、

　午後6時になると、「おおい、今日は、夕飯無いんかぁ」と、呼び付けられる。

　夕食後に練習しようとすると、「明日にしろ、一人の時にしろ。」と言われる。

　苛々する。どうして、こういう言い方をするのか。

　そんなに、寂しいのか。ピアノが、奥さん取って食うのか。

　休日に、夕食の支度を手伝うのが、嫌なのか。料理に自信が無いのか。

　結局、ピアノの仕事は、失った。この家庭状況では、続けられなかった。

　最近になって、どうしても現金収入が、必要になって、パートに出た。

　ところが、とんでもない上司がいた。ジキルとハイド。

　それも、意識して使い分ける、性質（たち）の悪さ。

　この部署には、この上司より、ベテランのリーダーと、サブリーダーがいる。

　彼女等に、上司は、技術的に勝てない。さらに、彼女等にツーカーのパート達にも、

　気を使わねばならない。うかつに八つ当たりすれば、リーダーに筒抜け。

　さらには、店長まで筒抜けになる。だが、後から入ったさあは、無駄口叩く、暇も余裕も無い。

　何を言っても、リーダーに告げ口しないらしいと見たのか、他のパートが帰ってから後、

　30分ばかり、残らねばならないさあに、言うわ言うわ。

　「あれをしろ。いや、もういい、こっちをしろ。ああ遅い、もういい、あっちをしろ。」

　その内に、お客様が、商品のパンの上に、パンを取った紙トレイと、トングを置いて、

　どこかへ行かれてしまった。そのままには、できない。だが、買う心算で取られたなら、

　戻って来られるだろう。あまり、離れた所に置くと、困られるかもしれない。どこがいいか。

　迷ってた時間は、長くなかったと思うが、「なにやってる！！」と、罵声が飛んできた。

　訳を言うと、「どかせればいいじゃないか！！なんか、文句あるか！？」

　「何処に、どかせればよかったですか？」喉下まで出かかったセリフを、飲み込んだ。

　この、「文句あるか！？」が、どうやら、最近のお気に入りの、セリフらしいからだ。

　第一、「何処に置くのが、ベストか」と言う、指図が、抜けている。

　此方としては、この指図下手の上司に、欠点を指摘するような、

　「あなたの指図は、いつも、補語が欠けています。甚だしい時は、単語の羅列のみで、

　　助詞や述語を想像で補う為に、行き違いが頻発します。

　　主語述語、補語、目的語を、明確にした文章で、指図してください。」

　と言う進言を、親切に、するべきなのだろうが、さあは人格が悪いから、やらない。

　この上司、技術の無さは、常々リーダー達に、吊し上げられている。

　フランスパンを、真っ直ぐに作れない。食パンの、型の底の空気が抜けない。

　陰で、こっそりパンの形を直されているのに、うすうす気付いてはいる。

　でも、「直してくれてありがとう」と、リーダーに言いもせず、「余計な事をするな！」とも、

言えず、さあに、「いつまでたっても、何一つ上手くならない！」と、八つ当たりする。

　さあが上手くならないのは、昼から4時間のみの仕事で、なにもかもが、

　「広く浅く」になっているからだ。リーダー達は、注意とアドバイスはしてくれる。

　それは、分かりやすく、手本も見せてくれるから、真似もできる。

　まして、尋ねたことに、「前に教えた」の一点張りで、質問に答えない事などない。

　分からなければ、一緒に考える。「文句あるか」で、片付く問題は無いのだ。
　
　いつか、なぜ自分の指図は、相手に勘違いを起こさせるのか、

　もっと上の人に、稲妻に打たれるように、指摘されればいいと思う。

　・・・我ながら、つくづく、悪人だと思う。心根が悪いから、こんな目に遭うのだと、

　運命論者は言うかもしれない。でも、親切にしてやりたくない人、と言うものが、

やはりこの世には、いるのである。

　　愚痴愚痴を、最後まで、お読み下さった方。お疲れ出ませんように。

　　　　ありがとうございました。・・・できれば、最後にしたいのですが・・・