2015年05月09日

「さあちゃん奈良へ行く」の巻き

「さあちゃん奈良へ行く」の巻き
 奈良へ行ってきました。

 観光しに。・・・だけな訳ないでしょiconN04kao_10iconN04

 まず、薬師寺。ここは、平山郁夫画伯の、シルクロードの絵があるから、

 これを、まるねこ娘に見せたかった。

 佐川美術館にもあるんだけど、やっぱり、お寺にある方を、見ないとね。

 あの廃墟が、立派な都だった昔々、今の最新装備でも越えるのが難しい、

 カラコルム山系をはるばる越えて、お経を持ち帰った、

 「三蔵玄奘」の足跡。まるねこには、伝わったかなぁ・・・

 それと、薬師如来と脇侍仏の日光・月光菩薩の三尊像。

 さあちゃん、小学校の遠足で、薬師寺に来たの。

 たしか、4年生・・・昭和45年だと思う。

 その時、まだ古い仮のお堂に、この三尊像は祀られていて、

 白壁と黒柱の小さいお堂で、それでも、この仏様達は、信じられないくらい

 ・・・美しかった。幾度も火災をくぐって、真っ黒だったけど、

 大事に磨かれて、ぴかぴかだった。

 それと、唐招提寺の千手観音像と。

 感激したのよiconN04子供心にiconN04

 その後、平山郁夫氏が三蔵玄奘の足跡を壁画にして、薬師寺に収められたと、

 ニュースで知って、是非とも絵描きになりたいまるねこ娘に、

 見せなくっちゃiconN04iconN04と、意気込んで、前回来たのが、

 もう8年も前の話。まるねこ、朝、起きなくてね。

 奈良に着いたのが、お昼だったもん。奈良駅周辺を回るのが、やっとこさ。

 薬師寺と唐招提寺は、大和西大寺駅周辺で、ちょっと奈良駅からは離れてる。

 東大寺の仁王像にびっくりして、大仏さんにびっくりして、

 鹿のしつこさにびっくりして。時間が随分掛かってしまったから、

 諦めたんだ。それで、興福寺と春日大社にして、薬師寺は行かなかった。

 今度は、こっちがメイン。早く行かないと、お寺は閉まるのが早いから。

 ・・・って思ってるのに、今度は、オヤジが起きないの。

 挙句に、「車で行こう」・・・kao12正気iconN06GWだよiconN04iconN04

 自動車どこもかしこも大渋滞だよ
iconN04iconN04

 「移動日じゃないから大丈夫だ。

  次男のアパートに、車、止めさして貰おう。」

 自動車渋滞しても知らんからねっiconN04kao_23iconN04

 名神高速。意外とすいてた・・・と思ったら、渋滞。

 「それ見ろっ!!」と、思ったら、事故だった。

 変な事故。後ろからぶつかられた跡のある車が、2台。

 中央分離帯付近と、200m位離れて路肩に1台ずつ。

 高速道路で、後同士ぶつかるなんて、あるだろうか・・・

 渋滞はそこだけ。京滋バイパスはがら空き。ところが、奈良へ近付くに従って、

 カーナビが怪しくなってきた。データが古すぎる。

 右往左往した挙句、全然違う町に辿り着いてしまった。

 頓珍漢オヤジiconN04町名を入れ間違えてた。

 正しく入れ替えて、再出発。ところがところが・・・

 kao12kao_12face07道が狭いiconN04iconN04

 接触事故こそ無かったが、脱輪しかかる事2回iconN04

 結局、歩いて次男のアパートを探すと、割とすぐに見つかった。

 案内を頼み、車を無事駐車、西大寺駅まで10分余り歩き、薬師寺へ向けて、

 近鉄で、電車GOiconN04iconN04

 薬師寺。よかったです。東塔は修復中。でも、金堂は建て直されて、綺麗でした。

 西塔も綺麗になってました。三尊像もやっと落ち着いて、一息ついておられる様な。

 面白い法話も拝聴し、・・・この人、吉本でもやっていけるよ・・・お商売も上手そうで。

 12歳で薬師寺に入られたんだそうで。お寺の家に生まれたら、そう言う事になるんだよね。

 和裁の先生のお知り合いにもお寺さんが多いから、話には聞いてるけど。

 大抵、お家で子供の頃に得度させられて、夏休みとかまとまった休みに、

 修行に出される、って言うパターンだったから、こんな、完全にお家から離れるのは、

 初めて聞いた話だった。そりゃあ、寂しかっただろうし、悲しかっただろうし、

 学校では、こんな珍しいケースだと、いじめにもあっただろうし。

 でも、偉いのは、ちゃんと、こんなしっかりしたお坊様になられたこと。

 そして、面白く、楽しく、法話をなさる事。お若いのに。24歳とか。すごいよね。

 「皆さんの写経で、お寺を建て直してます。どうか、お力をお貸し下さい。」

 そっか、あの古びたお堂が、こうなる為に、大勢の力が集まったんだな。

 それで、お経を書くことにしました。さあちゃん、般若心経くらい、空で書けるよ。

 でも、字が下手だからね。お手本つきで、二千円也。

 家で書いて、薬師寺に送り返すと、立て直してるお堂や塔に全部保管して、

 永代供養して下さるんだって。普通は護摩焚きのおりに、焼いちゃうらしいけど。

 残るんなら、書くよ。頑張って。なーに。書いたって200字あまり。そんなに労力要らないし。

 ここから、唐招提寺へ。歩いて10分程。

 小さい駐車場はあるけど、どこも8割がた埋まってる。

 だから電車の方がいいんだって。kao10電車face03

 鑑真和上と千手観音がお目当て。ホントに1000手、作ってあったのは、

 ここと、もう一箇所しかなく、平成大修理の折に、観音像も修復。

 手を一本ずつ外して、補強。全体をばらした写真があったけど、

 ・・・どうやって撮影したんだろう・・・そっちが知りたい。

 鑑真和上像は、本物はもう展示できなくて、新しく作った綺麗な

 「お身代わり像」になってました。彩色されて、ちょっと、綺麗すぎ。

 「さあちゃん奈良へ行く」の巻き

 そして、特別に公開されていたのが

    iconN11瓊花iconN11

 ガクアジサイか、オオデマリの様な花。

 鑑真和上の故郷・江蘇省揚州市から

 送られたとか。

 馥郁とした薫り。清楚な花姿。

 祖国を遠くはなれ、視力を失い
 
 寂しかったであろう和上の為に、

 故郷の香りが届けられたと言う。

 人と人の交流には、

 これほどの優しさがあるのに、
 
 「国」となると、どうにもきな臭い。

 天平の頃にも、それ以前の

 飛鳥時代にも、

 人々の関わりには、おおらかさと、細やかな優しさが溢れているのに、

 いざ「国」と「国」の話となると、どたばたと、取ったり切ったり、はつったり。

 今も昔も、ずーっと同じ。成長してないねぇ・・・

 ・・・さて、唐招提寺を見終わって、まるねこが一言。

 「鹿に会いたい。鹿、どこiconN05

 鹿は、奈良公園あたりだよ。前に行った、興福寺の辺り。

 「興福寺って、阿修羅のおるとこiconN05もいっぺん見たいiconN04

 そこへ、絵に描いたように、上手い具合にタクシーが。

 なんという、幸運。尼ヶ辻から電車に乗り、大和西大寺で乗り換えて、

 近鉄奈良へ行ってたら、またまた、博物館の中で、追い出しに遭う所だった。

 何せ、地元のタクシー。細い裏道をすいすい。さすがだね。10分足らず。

 この時点で午後3時。興福寺は広いんだから、鹿さんは後回し。

 まずは、阿修羅から。宝物館へ直行。改修されて、随分見やすくなってた。

 前に来た時は、順路が定まってなくて、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。

 2時間くらい掛かってしまった。まるねこが説明を上手く読めず、

 読んでやってたせいもあるけど。

 それが、一方通行で、片側だけ見ながら歩けば、全部見られるようになってた。

 博物館・美術館で困るのは、広い通路の両側に展示があること。

 あっち側見て、引き返してこっち側見て、向こうの展示室へ行く為、

 また、こっち側見ながら歩いて・・・凄く歩くんだよね。

 それがなかった。あんまりスムーズすぎて、あっけないくらい。

 八部衆の展示は、迫力の一言。シルエットにまで気を配って。

 阿修羅(あしゅら)を真ん中に、五部浄(ごぶじょう)、沙羯羅(さから)、鳩槃荼(くばんだ)、

 乾闥婆(けんだつば)、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、畢婆迦羅(ひばから)。

 可哀想なのは、五部浄(ごぶじょう)。頭部と上半身の一部のみ。

 右腕は東京にあるそうな。可愛い顔の御像なのに、なんとも惨い。

 他の御仏像達も、破損がひどい。八部衆はまだマシな方。その中の秀逸。

 阿修羅像。あの形を、どうやって現在まで保存し果せたのか。

 あのすらりと伸びた、細い六本もの腕を、度重なる火災や兵禍から、

 何という執念で守り通した事か・・・

 他の破損のひどい仏様達を見るにつけ、奇跡としか言いようがない。

 そして、どの御像も、阿修羅以外、下胸部で手を構えている。

 何かを持っていたんだろう。・・・何をiconN05・・・
 
 音楽をやる人間は、この腕の位置を見ると解る。

 この手は、武器を持つ形ではない。おそらく手にあったのは、

 楽器・・・ではなかっただろうか・・・鈴や、銅鑼、鼓、あるいは、小さな琴、笛・・・

 説明を読むと、やはり、楽神達の像だったらしい。

 いつか全員、彩色も戻して、持ち物も推定再現して、復元して作ってくれないかな。

 でも、そうすると阿修羅は・・・何を持っていたのだろう。阿修羅は戦神だ。

 想像してみる・・・上向けた双の掌には、塔の形をした揺らすと鳴る物、

 何かを下げている双の手には、幾つかの金鈴を吊るした金鎖。

 勿論、合掌は何も持たない。敬虔な祈りの手だから。

 だが、それでは戦神らしくない。いや、服装からして戦とは程遠い。

 他の七人が武人の装いなのに、阿修羅は軽い日常着のような格好だ。

 鎧を脱ぎ、武器を捨てて、楽に遊びながら、尚満たされず、唇を噛みしめる。

 そんな姿なのだろうか・・・

 思えば思うほど、奈良の仏は、奥底知れぬ魅力に満ちている。
「さあちゃん奈良へ行く」の巻き
 ・・・なのに、ウチのオヤジときたら、

 「どれも似たようなもんだな。

  仏像なんて、一個見たら充分だ。」

 これだから、嫌なんだ。

 まるねこが鹿に煎餅をやりながら、

 なんとか、いいアングルで

 写真を撮ろうとしてるのに、

 「さっさとやってしまえ。そら、

  食い意地の張ったのが来たぞ」

 などと、無闇と急かしたりする。

 空は、ぽつぽつ雨模様。

 とうとう、まるねこも

 鹿さんにお別れして、

 近鉄奈良駅へ。

 今日の最大イベント。

 次男と彼女さんと、晩餐会の会場へ。

 さあとオヤジが会うのは、2回目だけど、まるねこが、「はじめまして」なんだ。

 それに、向こうの親御さんの意向も、大体の所、聞いておきたいし。

 別に、反対されてるようではないので、それは構わないんだけど、

 一応、結納とか、ねぇ・・・

 「いらないよ。兄貴だって、やらないんでしょiconN05

 いや、北海道には、そう言う習慣がないらしい。でも、関西は・・・

 「ウチも、特にやらなくていいって・・・」と、彼女さん。

 そうは言っても、そんな訳には、いかないでしょう。

 (『こしらえ取り』っていう言葉が、あるんだよなぁ・・・)

 「第一、俺、まだ、仕事、訳わかんなくて、アップアップしてんの。

  わかるでしょ?」

 わかる。嫌ってほどわかる。さあも、アップアップしてるから。

 「じゃあ、秋頃、また話し合うって事で・・・」

 まあ、そんな流れよ。今のカップルって。でも、仲良さそうで(つまり、icon06ラヴラヴicon06

 それが何より。まあ、本人達に任して置きますか。やれやれ。

  これにて、さあちゃん小旅行はおしまい。後は順当に帰っただけ。

 以上、「さあちゃん奈良へ行く」の巻きでした。ではまた次回。

   今日も起こし下さって、ありがとうございました。



Posted by さあちゃん at 14:35│Comments(2)奈良親ばか
この記事へのコメント
さあちゃん ちょっとお久しぶり〜!

奈良への小旅行記、読ませてもらいました。大和路への仕事
のとき、時折大和の寺を訪ねます。イイですね、大和の仏さま達!
薬師寺は一年前に近くまで行きましたが‥唐招提寺にしました。
何だか素朴な伽藍や建物の造りや配置、最近は大和路に魅力を感じ
ます。鑑真和上は紫香楽宮にも関係した方と思えば余計に興味を
覚えました。和上を想った北原白秋の詩文を弟子たちが碑にした
こと、中々興味深く、余り訪れる人のない寺院は 歴史の中に
ゆったりと浸れます。ちょっと色々な大和の寺や仏さまたちに
逢いに行きたく なりました。
Posted by 風 at 2015年05月10日 08:35
Dear 風さん
 生まれ故郷じゃないんですけど、母と父方祖母が奈良出身で、
一応、ルーツが奈良って事で、通してます。その割りに、あんまり奈良の事知らないんで・・・(笑)
 千手観音は、遠足だったんだけど、いつ見たのか覚えてなくて、唐招提寺をググったら出てきて、
一つの仏像に千本手を付けると言う、古人の執念をまるねこに見せたくて、連れて行きました。
学生時代に見せられて良かったです。鑑真和上像は、本物を見たかったけど、
仕方ないですよね。他の静かな古刹も行きたいですね。母の実家の近くにあるらしい、
弘法大師像のあるお寺とか。立像で、ぴかぴかの金草鞋を履いてて、この像の魂は、
今でも全国(全世界?)を旅して、衆上を救っているから、錆びないんだそうです。ホントかな?
このお寺を、探したいです。他にも不思議が、きっといっぱいあると思うし・・・
(そっちか・・・笑)
興味は尽きないです。ならに足掛かりができたからには、行くぞ~~!!です。
 

 
Posted by さあちゃんさあちゃん at 2015年05月10日 11:56
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